新ブログの名称は〈28の未来へ〉に決まった。いろんな提案や意見があったがJは自分の思いを貫いた。そして新ブログスタート前にはSに依頼した小説が全て納稿された。
Jは思う。「それにしても、この分量を3週間で書き上げるSには驚くばかりだ。絶対変人に違いない。LINEも直接するようになって校正の裁量も得たから編集者たる自分も頑張っちゃったな!カッコ内の北の言葉もかなりイジったからいい気分だし。掲載日を決めるのにSが意見してきたのにはイラッとしたが、そこは譲ってあげよう。でき栄えの評価は読者に委ねるにしろ添付する写真を選ぶのはかなり骨が折れたなぁ。Rは楽しすぎじゃねえか?」と。
…
高尾山に登る企画を立てた。スタンスは自由参加と気楽な自己完結だ。10人来たら成功だろうと予想していたが、当日にはそれ以上の面々が登山口にやって来た。JとRはこの場で新ブログを始める感触を得たいと思っていたが、首尾は上々だ。登山道での話題は専ら同窓会のことだったが、話題の共通性にブログが多大な役割を果たしたことを改めて確認するに至りJやRはご機嫌だった。
それもそのはずで、参加者は東天紅ブログのヘビーユーザーたちでコメントの書き込みもハンパない面々だから新ブログを今か今かと待ちわびているのだ。談笑しながらもその気合が伝わってくる。Hは猛烈なコメンテーター兼コピペだし、私学の先生も熱烈なコメンテーターの1人だ。他にもたくさんいる。
Jは改めて思う。「クオリティーにはこだわるけど、いろんな人を巻き込んで楽しくブログを運営していく方針は正解だな」と。Rはすでに小説依頼の得点をあげてるので登山の足どりも軽快だ。おまけにJが小説に挿入する写真まで選んでくれたので、RはSをヨイショするだけの役回り。つまり挿絵は描かなくていいのだ。
Rの担当は新ブログのデザイン画だが、すでに終わっているから、当面は高みの見物だと調子に乗っている。そうは問屋が降ろさないだろうけど、まだ先の話だから今は楽しむがイイさ。この登山を通して新ブログの開示方法もまとまった。フリーアクセスにはしない。28期をメインにしながら先輩や後輩たちも幅広く巻き込んでいこう。それが大方の共通した意見だった…
JとSとOは、その後SNSとは違ったブログの専門ツールを研究するために奮闘するが、まずは始めるしかない。微調整をしながら新ブログを育てていくことで意見は一致したが、その行く末については誰一人楽観視していない。こうして12月23日、〈28の未来へ〉は第一歩を踏み出すことになるが……
続く