数年前、第一子を妊娠していた時のこと。
私の両親にとっては初孫となる。初孫が男の子と知った父の喜びは尋常ではなかった。
出産を数週間後に控えた11月のある日。
その頃の私は実家でのんびり夜ご飯を食べてお風呂に入り、夫の分のおかずまで頂戴して家に帰る暮らしが日課となっていた。
「また明日も来るねー!」
夜、そう挨拶をして実家を出る。自分の家まで歩いて 5分の距離。
「寒くなってきたなぁ」
そんな事を思いながら歩いていると、 ふと前から見覚えのある姿がこっちに向かって歩いている。
(アッパだ)
しかも、少し酔っぱらっている。酔った時の父は少し面倒くさい。
(マズい)
一瞬、知らんぷりをしようかと迷ったけど声をかけた。
「おーい、アッパ~」
ここで声をかけたのが 私の失敗だった。
私に気づいたアッパが、うれしそうに近づいてきた。そして、私の大きなお腹をよしよしと撫でる。
父:今から帰るのか?
私:うん、今日もおかずもらっちゃった~
父:そうかそうか。じゃあ、アッパが家まで送ってあげよう
そう言って、父は私の手から紙袋とカバンを取って歩きだした。
私:は?
いいよいいよ!家が目の前なのに、何?送るって!全然要らない!
必死に抵抗するも、父は気にもとめない。
父:いいから、いいから。一緒に帰ろう。
次の瞬間、父が私の手をつないできた。
は?
キモい。キモすぎる!!!
どうにも止められないけれど、つないだ手を振りほどくのはなんだかかわいそうで、アッパを そんなに傷つける勇気はない。
(キモい。キモいけど…)
私はそのまま歩き出した。 父と手をつないで。
もう一方の手でスマホを取り出し、すぐにラインを起動。
母と3姉妹で作った、アッパ抜きの<家族>のトークルームに片手で素早く打ち込み、 送信。
❝途中でアッパに会った。手をつないで一緒に帰り中。手・を・つ・な・い・で❞
大事な単語は二度打った。
すぐに既読が 3 つ。私のスマホが次々とラインを受信する。ブーブー、ブーブー、バ イブレーションが鳴る。
❝爆笑 w なんで ww❞
❝ウケる❞
❝キモい!信じらんない!❞
家族でネタにする様子が面白くて私は吹き出し笑いさえしてしまう。 一方、父はそんな私に気づかずに、注意深く周りを見ながら私の手を引いて歩く。
私たち<家族>はみんな、スマホの画面に夢中。 家では私が送る<実況ライン>をネタにして笑ってるんだろうな。私もスマホから目が離せない。臨月の妊婦で歩きスマホをしているのに私はつまずきもしなかった。 だって父が細心の注意をはらって 道を示してくれたから。
思えば、歩く速度さえ理想の速度だったなぁ。 妊婦じゃないアッパには、ノロノロで遅すぎただろうに。
あっという間に家に到着。
ここまで持ってくれた私の荷物と紙袋を父から受け取る。
なんか父はとってもうれしそう。
「また、何かあればいつでも言えよ~」
そう言い残して、父は実家へ帰ってゆく。
父の後ろ姿を見送りながら、笑いのネタにしたことを少しだけ申し訳なく思った。しかし、すぐに思い返す。
(いや、手を振りほどかれなかっただけ、アッパは幸せ者だ)
翌日も私は実家に夜ご飯を食べに行った。 父は家にいる。
父:おっ今日も来たか。今日も送ろうか?
私:アッパ、もう一生やめてよ。手をつないで帰るとか、ちょーキモいからね
私はようやくそのときに言った。
父はワッハッハっと爆笑する。
でも私だって、キモさの代償で知ったアッパのありがたみは、ちゃんと噛みしめている。
私:アッパ~
父:ん?なんだ?
私:子どもが生まれたら、また送ってね
父はうれしそうに大きくうなずいた。
おかしな娘のオモロイ話の主人公の娘ちゃん、アンニョンハセヨ~❣️(*^^*)✋私があなたと初めて会ったのは、この妊婦さんの頃ですよね(多分…笑)実家の近くに行く前まで うちのお店の近くに住んでいて「独りでも大丈夫ですか?」と可愛い笑顔でお店に来てくれたこと今でもはっきりと覚えています。仕事で帰りの遅い旦那さんの話をしながら「私は○○の娘です」「えっ?○○の娘ちゃん?」胸がキュンと熱くなりました。結婚して妊娠しても頑張って仕事を続けながら 仕事が遅い旦那さんとは一緒に夕食は食べられないので一人(お腹の赤ちゃんと二人かな?)で勇気を出してお店に来てくれて美味しいと笑顔でお肉を食べてくれて・・・どんなに愛おしかったか?気を使わないでお腹いっぱい食べてもらいたくて わざと側に行かなかった私の気持ちは伝わったかな?(笑)今思うと隣で一緒に座って焼いてあげれば良かった~(^-^)なんて思ったり… とにかく実家の近くに住んで家族みんなの愛をもらって過ごしている様子を読んでいると私も幸せな気持ちになりました❣️
またいつかアッパと手を繋いであげてね💟(笑)
一枚目の優しさ溢れる挿し絵で癒されて 二枚目の挿し絵で大爆笑(おかしいけど似てますね。笑)イラストさんも最高です\(^-^)/
周りに子供のいる家庭が多いので、アッパ=夫、父=夫、と勝手に思い込んで読んでいた私は、失礼ながら、第一子出産前なのに夫と手をつなぐのが 〈キモい。キモすぎる!!!〉 とは随分と冷え込んだ夫婦だなと思い、これから阿鼻叫喚の展開をワクワク、いや心配しました。しかし、「ん? 第一子出産前?」、ということで、アッパ=父、父=父、と修正しなおして安心しました。アッパは孫がお腹の中にいる娘さんと手をつなげて嬉しかったことでしょう。親孝行しましたね。
長男が生まれて妻の実家に行った時の事です。夫婦間で「オンマ」「アッパ」と呼んでいたのを今は亡き義父から注意を受けました。なんで女房をオンマと呼ぶのかと…。オンマはあなたのオモニの事。당신,여보と呼びなさいと。オンマ、アッパを使うなら子供の名前の次に〇〇アッパ、〇〇オンマと入れなさいと…。考えたらそうですよね。ちなみに亡き義父は自分の奥様を여보시오と言ってました(笑)これもおかしいですよね(笑)당신,여보…恥ずかしくてもう言えません💦