ピョンヤンに駅名がない駅が出現

今年に入って南北関係は、去年5月に保守系の尹錫悦政権が誕生して以後、対決ムードが鮮明になった。尹政権は日本や米国と連携して北朝鮮に圧力をかけ、非核化に向けた措置を取るよう要求する。これに北朝鮮側も反発を続け、朝鮮半島での緊張が高まっている。

昨年末に開かれた党中央委員会総会で、金総書記は「長きにわたる祖国統一の思想と路線の放棄」を宣言した。

朝鮮半島に1948年、韓国と北朝鮮という二つの国が相次いで成立し、朝鮮半島は分断された。それから75年以上、両国は公式には「われわれは別々の主権国家ではない」「統一を目指す潜在的なパートナー」と言い続けてきた。南北関係がこじれても、この方針は双方の基本原則として維持されてきた。

ところが金正恩総書記は、祖父・金日成主席や、父・金正日総書記のこうした伝統的立場から決別し、対南政策の抜本的な方向転換に乗り出した。

北朝鮮の国営メディアは昨年７月以降、韓国を「大韓民国」と呼ぶようになった。それまで南朝鮮と呼んできたものを、正式な国名にあえてカギ括弧かっこをつけて表現するようになったのだ。そして最近は、そのカギ括弧さえも外された。

北朝鮮はこれまで韓国を「独立した主権国家」とはみなしてこなかったため、南北の交渉は外務省ではなく、党統一戦線部やその傘下の特殊機関が担ってきた。だが金総書記はこうした組織を改編したうえ、南北統一の象徴であった「祖国統一３大憲章記念塔」まで破壊してしまった。

さらに、金総書記は「三千里錦繍江山」や「8000万民族」のような朝鮮半島の一体化を象徴するような用語の使用も禁じた。その流れを受け北朝鮮当局は、朝鮮半島の地図の表示を南北で別々のものに変更し、南北軍事境界線を「国境」に言い換えるなどの措置を取ってきた。

そして国歌の変更だ。北朝鮮外務省はホームページに掲載している「国号」「国章」「国旗」「国歌」のうち「国歌」である愛国歌の歌詞の一部を変更した。

今度は北朝鮮の首都ピョンヤンを走る地下鉄の「統一」駅の名前から統一が削除され、単なる「駅」とのみ表示されていることが２０日、在北朝鮮ロシア大使館のフェイスブックの投稿で確認された。

何ごとにも徹底的にやる北朝鮮。旧統一駅に掲げられているモニュメントはいつ破壊するのでしょうか？