【健康】アナタが飲んでる「サプリメント」は大丈夫？

小林製薬の紅麹サプリによる健康被害は、何がどんな悪さをしたのか謎だらけだ。でも、 そのサプリメントを食べた人が亡くなり、人的被害が生じたことは事実で、こんな時こそ冷静に考えてみたいと思う。

まず、食品としての紅麹そのものに罪はない。食べてアレルギー症状などの症状が出るのは、相性の個人差だが、今回の問題はそれとは異なる問題だ。

健康被害は、錠剤(サプリメント)の形に加工するため、他の用途より長期間培養して、有効成分を濃縮した製品に限られている。製造の過程で、何らかの想定外の物質が紛れ込んだらしいのだ。裏を返せば、他の紅麹は大丈夫ということになるが、小林製薬が他社に供給した原材料まで、返品や廃棄が広がっているという。もうここまでくると「風評被害」に近い。

健康食品市場をプラス成長と見込んでいたサプリメント業界は、この出来事を踏まえて、今年の売上を５〜６%の減少に修正したという。他社の何でもないサプリメントまで買い控えるというのは、少々過剰反応とも言えるけれども無理もない。

日本では、健康食品を摂取している成人は、男性で30%、女性で38%いるという。 その７割が自分自身の「健康の保持・増進」を理由に掲げている。

サプリメントの接種は、病気を治す効果までは期待しないけど、健康食品だから体にはいいはずで、それが病気を引き起こすなんて誰も思っていないのだ。そうした信頼を裏切ったという意味では、小林製薬の責任は重いと思う。

日本政府は、自分自身で健康に気を配り、自腹で健康食品を買い、多少の心理的効果もあって元気に暮らす人が増えれば、医者にかかる頻度が減り、国家の財政も助かるので、盛んに「セルフメディケーション」を推進している。

サプリメントは医薬品ではない。厳しい審査をパスした医薬品は「本物」で、それ以外は有害無益…という考え方も、日本の厚生官僚の中に根強いと聞く。「たかがサプリメントだ」と、厳しい規制をかけない現状でいいのか。日本政府の政治の責任も、軽くはないと思うのだが…。