春のうららかさを感じよう

末は大物?③

マー坊は時代劇が大好き。「水戸黄門」「遠山の金さん」とか「暴れん坊将軍」とか、黄門様なんて憧れのヒーローに思っている。

家族旅行で行った、りんどう湖のおみやげ売り場。私が1つだけ買ってあげると言うと、他の息子たちはそれぞれ子供らしい物を手にした。だがマー坊はここでも個性を発揮する。なんと水戸黄門の“印籠”を持ってきた。5歳児が印籠を?!彼には印籠が悪者を退治するアイテムに思えたのだろう。

「ほかのオモチャにすれば?」「ヤダ。これがいい!」マー坊は一歩も引かない。結局、私はマー坊に印籠を買ってあげた。マー坊は大喜びで助さんのように印籠をかざす。家族にならまだいいが、道行く人の前に立ちはだかって印籠を見せつけるのだ。狙うのは主に若いカップルである。

いい雰囲気で並んで景色を見ている男女の間に割って入り、振り向きざまに印籠を見せつけながら「この印籠が目に入らぬか!」と気持ち良さそうに決まりゼリフを吐き捨てる。ノリのいいカップルは「はは~」と乗ってくれるが、たいていは「何この子?」ってな顔でにらまれる。せっかくの雰囲気をぶち壊されたら、そりゃ怒るわな。

その度に私は腰をかがめながらカップルに平謝り。当のマー坊はヒーロー気分で楽しくてたまらないようだ。このまま大人になったらどうしよう。あ~あ、末が恐ろしい。