ハナとミュージックバーで楽しいひと時を過ごして、彼女をタクシーに乗せたあと、김はパークホテルに入った。フロントでキーを受け取った時「お客様がお待ちですよ。」と言われた。
ロビーのソファーに座っていた男が立ち上がった。「형, 오랜만에 다시 뵙네요.」と김にお辞儀する。김は「아니 넌 강홍 아냐. 진짜 반갑다」と言いながら男と握手する。「좀 이야기하고 싶은데 」と男が言うので、김は突然の来訪者に違和感を覚えながらもキープした部屋に彼を連れて入室した。
男は無言のまま김のスマホをバスルームに置けと目と指で指図する。そのあと男は上着の内ポケットから封筒を取り出して김に渡した。封筒の中には十数万円が入っていたので김は驚き目を見開いた。
「그럼 강홍 너가 ⁉」 声を出すなとばかりに男はパッと手を広げすぐに人差し指を立て口元に当てる。
「그건 알 필요도 없고 알아서도 안돼요.」と目つきを変えた。
「나 궁금한게 많아. 감시자 일터를 알리자마자 내 후배가 가게에 갔었지?」
강홍なる男は「스파이영화에서 취급되는 休眠エージェント정도로 리해하시고」と言いながら話題を変えた。
(로영주もそうなのかなぁ、もしかして방도も?) 김の想像はフルスロットルだ。
「오늘 그자와 지내서 어때?」
我に返った김は「외람되지만 딱이지. 너무 맘에 들어 なんちゃって」とふざけてみる。男は笑いもせず呆れ顔で「감시는 계속될것이니 형은 그냥 일상대로 처신하세요.」と釘を刺す。
「이런식으로 다시 만날 일은 없고 설사 만났다 해도 〈パスポート〉가게 점장으로 대하세요. 이후 도꾜에 오는건 스스로 판단하고. 돈 후하게 넣었어」と言い残し男は部屋を出ていった。
(あいつだったなんて嘘みたい)김は身震いした。今宵は眠れるだろうか?
김との対面を済ました男は不安に苛まれる。(중요인물도 아닌 시골에 사는 외로운 령감을 왜 감시하는지 답이 없네. 내가 너무 앞질러 서두른게 아닐가?)
〈仕事を緻密に完璧にこなす〉
それこそが生きる道だしそうして来た男だから、オンナの覗き見と他に動きがない事に首を傾げざるをえない。でも常に保険的措置を怠らない男の仕掛けは他にもある。
(좀 흔들어 볼까)と思いなおし、別なエージェントに新たな指令を送った。軍事用語で言うところのオンナに対する〈威力偵察〉が始まる。
続く