지영이는 보았다(第3弾)その7

盗聴されてる事を知らないチヨンは김に電話して、東京に来るのはいつかと聞いたが、彼は分からないと言っている。年内に会えないのかと思うと寂しさが募る。そんな気持ちを紛らわそうとチヨンは任務遂行に励む。

佐藤の件をもっと探ろうと、チヨンはまずネットで延吉にある出帳所を突き止めた。ビルの一室をテナント利用しているようだ。そのビルに入っている他の会社の名前を読むと、ルンラ友誼公司という社名に目が止まる。今度はこの公司を検索にかけると、無煙炭や燃料などの輸出入に関わってると紹介されていた。

無煙炭と言えば北の大事な外貨収入源ではないか!佐藤の出張所と同じビルにあるのは偶然ではないと、チヨンは確信する。願ってもない獲物だ!総聯系同胞の金の流れを知るためにも松山ともっと親しくならなくちゃ。

チヨンは相談に乗ってほしい事があると松山に電話した。松山は私で良ければと喜色ばった声で応じ、土曜の昼食を上野のABABで伴にする事になる。

「昼間のハナさんは一層魅力的ですね。」

松山の挨拶から2人の話は始まった。ハナは留学して語学を修練し、国際親善に役立ちたいと作り話をしたら松山は真摯に聞いてくれ、留学のアドバイスもしてくれた。松山さんは在日の人々のために頑張ってらして素敵ですねと持ち上げると、気を良くした彼は在日に対する思いのハケを吐き出した。在日の所縁にさほど詳しくはないと前置きした上で彼は話を続ける。

…アベノミクスと言っても中小零細の業績は、良くて現状維持で殆どが悪化してるし、在日の人々も例外ではない。特に総聯系の同胞は色んな圧力を受けながら、自らの団体と学校に会費や授業料を収め寄付までするから、そのご苦労には頭が下がる。拉致問題を契機に多くの人が韓国籍に変えたのは事実だが、それが変節かと言えばそうとも言えない。ハナは話にどんどん引き込まれてしまう。

同胞たちは民族を大枠とした在日のコミュニティを大切に思いながら、子弟たちがグローバルなご時世を生き抜けるようにと苦悩し努力している。

「日本が寛大でヘイトを許さない社会になっていたら、彼等の頑なさは違ったかな?」

ハナは目から鱗が落ちる思いだし、敵味方の尺度でしか在日を見ていない己を恥じてしまいそうだ。

任務への義務感から佐藤の話を松山に振り向けた。松山の表情が曇る……

          続く