東村山市に多磨全生園というハンセン病施設があります。ここには今でも在日同胞が暮らしています。20年前は700名の患者の中に約50名の在日同胞がいました。1996年に「らい予防法」が廃止になったとはいえ、社会の根強い偏見や差別、長きにわたる収容で肉親との音信が途絶え、頼れる者がいないとう事情からここに住んでいるのです。
何年か前にこの敷地内にある国立ハンセン病資料館を訪れた時の衝撃を私は忘れることができませんでした。あいにく、この日は新型コロナウィルスの影響で休館中でした。
今ではここ全生園の入所数も少なくなりましたが、私たちが生まれた当時には日本全国に療養所が設けられ1万人を超す入居者の方が隔離されました。その中で在日の患者たちは国籍が異なるという理由から二重の差別に長らく苦しみました。
資料館には、逃走を防ぐ目的で作られ園の中だけで使われていた金券や、手の感覚が鈍った人がケガをしないようにと作られた木バサミなどの生活資料が大量に展示されています。人間が必死に生きてきたという証拠が山のようにある場所です。
入居者たちの壮絶な人生を癒すかのように敷地内には美しい花々が咲き、辺り一面に穏やかな空気が漂っていました。
樹木希林さんの映画「あん」はここが舞台では?圧巻の演技力でした。最後の主演作となってしまいましたね。(涙)