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3年12班の愉快な面々 10

商店街を抜けると目の前が開けて大きな橋と川が見えて来た。テレビでよく見る京都の川の代表格は市内中心部を流れる鴨川と嵐山を流れる桂川。目の前の鴨川には三条大橋を始め祇園に続く四条大橋、牛若丸と弁慶が対決した五条大橋等有名な橋がある。彼等は三条大橋の上に立った。

橋のたもとに川辺に下りる道が見えた。「あ、あそこから下におりれるよ」とC子が指差した。「川辺もいいな。下りてみようか」とGチが歩き出した。鴨川の水の流れる音が心地よい。

その流れがほど良い風を送って来て、ほろ酔い気分の8人の頬を優しく撫でる。8人は古(いにしえ)の昔から続く川の流れに耳を傾けながら、川辺の土手に腰を下ろした。鴨川名物の納涼床が並び、掲げられた提灯により古都の夜空が色付いている。

「やっぱり本場のお好み焼きは美味しかったね。」と◯スンが言った。「あの娘も可愛かったし…」とM道がニヤけた。「何が可愛いのよ。あんた本当に女を見る目がないんだから」とNMは声を上げた。「なんでお前が怒るんだよ。」
M道はびっくりしながらNMの顔を見た。周りの皆もいぶかしげにNMの顔を見る。
◯スンは(はは〜ん ❤)と微笑んだ。

「別に怒ってないわよ。ただこの子がちょっと可愛い子を見たらすぐに鼻の下伸ばすのがムカついただけよ!」「でも、あの娘可愛かったよ」と一人で2本ビールをあけたY男がほろ酔い気分で言った。

「ふん!男ってのは可愛い子には見境がないんだから… 💢 」「ハハ、やっぱり可愛いいじゃん」とM道。キッ!とNMが睨んだ。

「まぁまぁ、さ、そろそろ帰ろうか。M道、あんたのせいでNMは怒ってるんだからちゃんとなだめて、責任持って連れて来なさいね。変な事したらダメよ。」と◯スンが言うとそれを察したGチと哲夫は「そうしろよ、ちゃんと送るんだぞ」とニヤけながら言った。

「な、なんで俺が…」「ちょ、ちょっと待ってよ。一緒に行こうよ。」「いいからいいから、ちゃんと話して帰ってくるのよ」と立ち上がって行ってしまった。残された2人に気まずい空気が流れた。

しばらく無言で川の流れを見ていたNMが「修学旅行…良い思い出が作れたらいいなぁ。M道は行きたい所あるの?」と聞いて来た。

薄暗い中で提灯の揺れる光に照らし出されたNMの横顔を見た時、M道はドキっとした。普段学校では見た事のない表情だった。素直に可愛いと思った。「べ、別に無いよ」と自らの戸惑いを隠そうとポケットから櫛を出して髪の毛を整え始めた。

「あんたっていつも髪の毛ばかり気にしてるのね、バカ!」と顔を背けた。何かいつもと違うNMの姿に戸惑いながらM道は周りを見回した。(ア‼️…アベックばっかり…)

あとで解った事だが、この三条大橋の下の川辺は、京都有数のアベックが多い所、またここで告白したカップルは結ばれると言う、今で言うパワースポットだった。周りの雰囲気に呑まれそうになったM道は「さ、さぁ行こうか」とNMを促しながら自然に手を差し伸べた。

(あれ?何で手を出した?)戸惑うM道。「うん…ありがとう」とNMは素直にM道の手を掴んで立ち上がった。
(‼️)
M道はびっくりした。(手を握っちゃった…)

アベックの間を縫って橋の上までたどり着き、宿泊先のホテルに向かって歩き出した2人の手は離れず、しっかりと繋がれていた…

3 COMMENTS

京都行来たいな👀

あ~あ💦 いよいよ始まっちゃったね💓
それでM道は我慢できたのかな?お互いにまんざらでもなければ、始まっちゃうんじゃないの?👀 まぁ~焦らない焦らない💦
それから?それから? だんだん愉快になって来たね💓

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