3年12班の愉快な面々　17

この頃Hソンはどうにも、もやもやした気持ちを抑えられないでいた。それは、今ひとつクラスにまとまりが無いと言うか、物足りなさを感じていたからだった。「無欠席運動」を高らかにうたったにも関わらず、中々その芽が出ないでいた。そんな姿を見てMリが声をかけた。

「Hソン、何をそんなに悩んでるの？好きな娘でもいるの？ははは、んな事ないか。」「なんで俺には好きな娘がいないんだよ！いないけど…」と言った後で「あ〜あ、何かきっかけが必要なんだよな〜！」と独り言の様に呟いた。
「何の話よ？」とMリは気になって聞き直した。Hソンは悩みを打ち明けた。

「そうねー、確かに何かきっかけがあったらね〜」その時同じ階の女子のクラスから歌が聞こえて来た。

「 ? 海よ〜俺のう〜みよ〜 ? 」（加山雄三か〜、夏だなぁ）2人はしばらく聞き入った。

「 ? 江ノ島、三崎、大島越えて…Sail On! 光進丸よ ? 」近くでも歌声が聞こえる。M道がNMと口ずさんでる。そこに合唱部のY子が合流した。すると◯スン、ス◯、Eス、C子も混ざりY男、哲夫、Sスが加わり最後にはGチまでもが歌い出した。

「 ? Sail On! 光進丸よ俺の夢乗せて海へ羽ばたけ〜 ? 」「ワーッ！」皆やんやの大喝采。「あー、海へ行きたいな〜！」と誰かが叫んだ。
「‼️」
2人は顔を見合わせた。
「海へ行こう！」

3/12班の「바다모임」は1学期の期末試験が終わる週末の日曜日に決まった。場所は千葉の御宿という案も出たが、C子が「やっぱり加山雄三は湘南でしょ」の言葉で湘南の江ノ島に決まった。

「その日ならクラブも本格始動じゃないし、試験休みも兼ねて皆で行けるね ?」とC子が言った。
Gチが「お前は試験関係ねぇから試験休みじゃねぇだろ？ハハハ」と茶化すと「なに？バカにしてんの？」と突っかかる。教室は笑いに包まれる。

「それじゃ日曜の朝8時に新宿駅の南口に集合！」と確認して解散になった。

※3年12班の皆さ〜ん！海もいいけど、その前に期末試験がある事を忘れないでね〜！と人生の先輩として一言だけ言っておきます。（同級生だけど…）

期末試験も無事？終わって当日、新宿駅に3年12班の面々が集まって来た。女子は皆大きな荷物を抱えていた。

「はい、M道。これ持って。重いんだから…」とNMは大きなバスケットをM道に渡しながら言った。その他の女子も荷物を持っていたが、男子が各々持ってあげた。

「ありがとう」とス◯は荷物を渡しながらSスに微笑んだ。Sスは照れながら無言で頷く。

「Gチ〜、チョの荷物持ってよ〜」とC子が言った。Gチは受け取りながら「重っ！何が入ってるんだよ！」と言うと「フフン、秘密だよ ?」と笑った。

「あれ？哲夫は？」
「なんか場所取りに先に行くって言ってた。心配すんな。」

皆は江ノ島行きの急行電車に乗り一路海に向かった。

小田急線「片瀬江ノ島駅」は潮風の香りに包まれていた。すでにホームは人で溢れていた。シーズンど真ん中の日曜日と言う事もあって家族連れや若いグループが楽しげに笑いながら人の流れを作っている。

「はぐれるなよ〜！」と言いながらHソンはいつの間に作ったのか『3학년12반』と書かれた旗を持ち出して、高く掲げて先導した。

「キャハハ、何よその旗。」「ダッセェ、恥ずかしいから止めろよ！」「いつの間に作ったんだよ」と文句が出たが、Hソンはキョトンとして（カッコいいじゃねぇか、何言ってんだ）と自信を持ってより大きく振った。

道路を渡ったら目の前に海が広がった。

「海だ〜！」Y男が叫んだ。
浜辺は人で埋まっていた。
さすがは日本で一番海水浴客が多い海岸だ。足の踏み場も無いとはこの事だ。

彼等は場所を探して歩いていると先に来て場所を確保していた哲夫が「お〜い！こっちこっち。」と手招きしている。
江ノ島と陸地を結ぶ『弁天橋』の下がちょうど空いている。この人数も充分入るスペースだ。

「よくこんないい場所見つけたな〜」とM道が言うと「いや、兄貴がここの海の家を友達と経営してて、この場所を取っておいてくれたんだよ」と言った。

「え、S夫ヒョンニンいるの？」
「いるよ、ほらあそこの海の家だよ」
「お礼言いに行こう。」と皆で哲夫の兄貴に挨拶しに行った。
「고맙습니다. 」と一斉に声を上げると先輩は笑いながらジュースを差し入れてくれた。
「ビールはダメだぞ！」と笑いながら言った。

皆、にが笑いをしながら再度お礼を言ってその場を離れた。女子はそのまま海の家で着替えて、男子は橋の下で着替えた。女子がそれぞれ着替え終わって集まった。

するといきなり哲夫が「Y男기준！」と言い出した。
…