帰路についたSスは先生との面談を思い出していた。
…
「Sス、進路のことだけど、どうするんだ?」「今は日本の大学に行こうと思っています。」「大検が必要だけど、もう取ってたんだよな?」「はい。高2の時に…」「準備はしっかりしてるって事だな。その為に大好きなサッカー部を辞めたんだし。」「はい。辛かったけど…しょうがないです。」
Sスは寂しそうな表情を見せたがすぐに笑って「自分で選んだ道ですから」としっかりとした口調で言った。
「わかった。そこまで覚悟してるのなら先生は何も言う事はない。がんばれ!」と肩をポンと叩いた。
敷居で区切られたその隣で、もう一人が進路の相談をしていた。「Mリ、あなたは進路をどうするの?」「今悩んでるんですが、やはり朝大に行こうかと思ってます。」「あなたは英語が得意だから外国語学部かな?でも数学も得意じゃない?」「はい…でも…何学部にするか、もうちょっと考えます。」「まだ切羽詰まってないけど、早目に決めないとダメよ。時間なんてあっという間に過ぎるんだから…」ムン先生は優しく微笑んで言った。
(へー、うちの宣伝部長は朝大に行くんだ。そう言えば授業にも積極的だし…ふ〜ん)Sスは敷居越しから聞こえる会話から、自分なりのしっかりした考えを持っているMリに好感を持った。
Sスは3日に1回通う予備校に向かった。彼が目標にしてるのはW大の法学部。弁護士になるのが夢である。彼が弁護士になろうと思ったキッカケは、定期券だった。
ある日、地元で仲の良かった日本人の友達と駅でばったりと会った。彼も高校は電車通学でちょうど定期券を買いに来ていた。楽しげに話しながら、何気なく定期券の申込書を見て「あれ?」と思った。
色が違った。その時初めて気が付いた。(朝鮮学校は日本学校とは違う定期券を買ってるんだ!)
これは国鉄も私鉄も同じ扱いだった。(何で…同じ学生なのに…)それからSスは色々と調べるうちに、ウリハッキョに対する日本政府の理不尽な扱いを知るようになった。
(こんな差別があったんだ!何とかしないとこの後もずっと差別されたままになってしまう、俺の後輩や、弟や妹までも…)法学部に入ろうとしたのは自分が法曹界に入って在日の人権の為に頑張ろうと思ったからであった。それからというもの、大好きだったサッカー部も辞めて、勉強一筋に頑張った。
『絶対現役で合格する!』人が何と言おうと一度決めた事は最後までやり通す強い意志が彼にはあった。朝は5時に起きて前日の復習、学校が終わったら3日に1度は予備校へ、それ以外は家でテキストの練習や参考書とのにらめっこ…それこそ勉強に始まり勉強に終わる生活だった。
でも、そのSスの背中を熱い視線で見つめる子がいた。
それは…
続けていいですか?
えっ? 続けて良いですか?って
もちろん続けてください💕読んでますが、普通の日常のようで、いつ愉快になるのかな?と待ち侘びてま〜す👀
一話に付きイラストが三枚。
燃えてたなあ笑笑
勢いがね✌️