「朝高なめんなよ!」の過剰な思い込みは、時として判断や状況を誤らすことがある…!?
Aが朝高3年の時の話。彼の地元にもカジノ風のコインゲーム(今のゲームセンターの類)屋がオープンした。コインを買ってルーレットやスロットなどができるが換金や景品交換はなく、増やしたコインをキープでき、それでまた遊べる仕組み。目新しさもありAも仲間や後輩とよく遊びに行った。
ある時その店に行くと、ハッとする様な綺麗な店員さんがいた。その娘見たさにAらの来店数も他の客と同様に増すばかりだ。その娘に声をかけたりナンパしようとした輩がひっきりなしだったが全て撃沈。大人びている容姿だったのでAらはチラ見だけに徹していた。
しかし、朝高生に優しい店長の耳打ちで彼女は17才でキッチン用品のテレビCMに出演してる女優の卵だと分かる。ザワつく彼等の中でも後輩Hはヒートアップする。
「ソンベ、あの娘と付き合いたい。」「そうなの。じゃあ話してこい。」「無理です。ソンベ何とかお願いします。」そんなやりとりの後Aはその娘にこっそり語りかける。
「ちょっといい?俺の連れがアンタに気があるんだけど、どう?」その娘は後輩の方をチラッと見て、そしてAを直視した。やっぱり美人だ!と思うAにその娘は言った。「私はあなたが声かけてくれるの待ってたのに。」「エッ、俺?俺だったらOKなの?」その娘はコクリと頷く。
Aは困りながらも咄嗟に悪知恵が働く。彼は戻ってHにこう言った。「なんか駄目みたいだ。好きなヤツがいるってさ。」Hは意気消沈だ。そのバツの悪さに即店から退散した。
後輩が帰ったあとAは今度の日曜日に映画を観ようと彼女を誘ったら是非にとの返事。そして、誰にも言えないズルな秘事デートの日は来た。彼女は約束した時間と場所に来た。
そして映画館に入った。映画が始まると彼女はAの方に体を寄せてその肩に頭を載せる。
舞い上がったAは映画が終った後の事を妄想ばかりしていた。(終ったら喫茶〇〇で食事してその後踊りに行こう、そしてムフフ)映画が終り外に出た時、彼女は「今日はありがとう。楽しかったわ。もっと一緒にいたいけど、もうすぐ門限なの。」と言った。
自分本位の勝手な妄想が『門限』を理由にいとも簡単に打ち砕かれたAは我慢ならなかった!彼女が「次はもっと遅く帰れるようにするからゴメンね。今度いつあえる?」と言っているのにテンパったAの耳には届かない。そしてAは彼女にこう怒鳴る。
「帰りたければ行けよ。次なんてねえよ。朝高なめんなよ!」と。彼女はポカンとし、そしてシクシク泣きながらその場を去ってゆく。勢いよく反転し逆方向に行くA。(また誘ってみるか)と自らに言い聞かせてる時、Aはある事に気づき愕然とする。彼女の電話番号を聞いていなかったのだ。
その後コインゲーム屋にも行ったが彼女の姿を見る事はなかった。
この話の推薦曲 グラディスナイト & ザ ピップスの〈イマジネイション〉
変なところで、朝高根性を見せてんじゃねぇ~よ💦 馬鹿だね~
でも、Hはナンパできるんだね~ 私は一度もできなかった💦 うぶなんだよね~
あの時代は硬派が多かったからなあ~。
今ではきっと後悔してるはず…(笑)