次の日、昼前に태영から連絡があった。「ジンス、昨日はありがとな」と、まずはお礼。そして彼は「実は昨日、見てもうてん」と訳の分からない事を言いだした。ジンスは「えっ、何かあったのか?」と聞き返すと「カラオケ屋でトイレ行った時にやな、角の物陰で남식と정혜が抱き合ってキスしとってん。二人はワシが見たのは知らんはずやけどな」と爆弾発言。
そりゃあビッグニュースだ。ジンスは「あっと驚くタメゴロ〜じゃん」と声のトーンを上げる。태영は「アイツら不倫関係なんかな。マズい思うで」と続ける。「俺が知るわけないじゃん。その話を俺以外の人にも話したのか?」と返すと「言ってへんよ。冗談じゃ済まんやろうしな」と答えた。ジンスも同感だったので「この話は俺らだけで止めとこう」と伝えた。
「そうしよっ。こっちにも遊びに来いや。関西メンバーで同窓会したるわ」と締めくくって彼は電話をきった。ジンスの驚きは不思議とすぐに終息した。「キスはねえよな」と声に出してみるが羨ましさなど感じない。一方で新たな邪念がわき始める。
(ヤツらに比べたら俺と현주は清いじゃん。二人の交流は続けても問題ないよな。)
免罪符を貰ったとばかりに、ジンスは昨日の携帯の写真を確かめて数枚を현주に送信した。また着信がある。昨晩番号登録したので、미화と名が表示されていた。「조ジンス、私미화よ。昨日はお疲れ様。」、「ホ〜イ。楽しかったよね?」、「うん、そうそう。ちょっと話したい事あって電話したんだけど、大丈夫?」、「どうしたの?」、「남식と정혜なんだけどさぁ、あの二人なんか変だったよね?」、「えっ、何が?」、「お互い意識しまくってるっていうかさぁ、濃密だったと思わない?」、「どういう意味?」、「絶対怪しいよ。남식から何か聞いてない?」…
仮に聞いてたとしても答えられる話ではない。미화はキスの場面を見ていないだろうから彼女の直感は凄いっ!ジンスは頭の中の要注意人物リストに미화を書き足した。
「それとね。昨日현주の話覚えてる?」
彼はわざと間をおいて「誰かを好だったとかの?」と続きをあおる。「そう、多分アンタだと思うよ。
「前の同窓会で彼女から聞いたのよ」、「なんだよ急に」、「나は 조ジンス 좋아했어. 知らんかったん?って言ってたの思い出してさ。」、「それは無いと思うよ。それに昔の話じゃん。」、「まっ、そうだけど、一応知らせとくね」を最後に通話は終った。ジンスは同級生の中では学生気分は永遠だなと改めて思う。
同級生ゴシップは色あせないのかも知れない。미화との通話によって현주の存在感が一つランクアップしたのをジンスは認める。なんか현주を一歩リードしたようでやたら気分が良くなる…
続く