祭祀の料理は高級食材や旬の食材で作られるが、ある人には贅沢なそのご馳走が、ある人にとってはうんざりの食べ物であるようだ。
祭祀のない家に生まれ育った私にとっては、もちろん贅沢なご馳走である。
済州島では祭祀をシクフェ(食会)と呼ぶ。女たちは朝から準備を手伝い、男たちは食客として朝から肉の切れ端やナムルのおこぼれを肴に酒をあおる。
慶尚道の男は自ら料理を準備するというから、やっぱり済州島は男の天国なのかな。いや、済州島の女が働きすぎるのだ。
とにもかくにも貧しい島にとって祭祀は村の大きなイベントだったのだろう。
その風習は日本に渡ってきた1世たちにもしっかりと受け継がれていた。
幼い頃、近所の家で祭祀があると母は朝から手伝いに行き、帰りにいろいろな料理をもらってきた。
串刺しにした牛豚肉、シイタケやエビの煎(チョン)、山菜や色とりどりの果物に玄米パンやクァジュル(済州島の揚げ菓子)まで…
祭祀のおみやげは、まさに食の宝箱。母が風呂敷を開けた途端に姉妹で群がったものだ。
そんな私が、祭祀の料理に目もくれない人がいることを知ったのは、嫁ぎ先での初めての祭祀の日であった。年に7回の祭祀を行う、済州島出身の長男家の長男に嫁いだ私は何よりその食材の高級さに驚いた。
タタキ用の和牛肉のブロック、肉厚の豚肉にイカに鯛、山海の旬の食材がホットプレートの前で、順番に焼かれるのを待っている。
特に私の目を引いたのはアワビである。活きた刺身用のアワビを贅沢にも串刺しにして焼いてしまうのだ。
(すごい!祭祀ってお金がかかるんだなぁ)
そんなことを考えながら台所で姑の命令どおりに立ち回るが、祭祀経験のない私には至難の技ばかり。それに比べて華麗としか言えない姑の手さばき。魔法の手のように次から次へと料理を完成させていく。
夜中の12時、祭祀が始まった。姑の息子たちが遺影に礼をしお酒を注ぐ。私にはこの光景も珍しい。
しばらくして祭祀も無事に終了。
ご先祖様が、ありがたく召し上がったであろう祭祀の料理を囲んでの夜中の会食の始まり。
片付けものを済ませて席に着くと、アワビ以外の料理は箸も付けられていない。夫の兄弟にとって祭祀の料理はご馳走でもなんでもないらしい。
(ラッキー!)
この時とばかりご馳走をほおばる私。
最後まで箸を止めない私とは対照的に義弟たちはご飯とスープとキムチでさっさと食事を済ませて退散する。
「祭祀の料理はうんざりなんだ」
食いだめでもするかのように夢中で食べてる私の隣で夫が呟いた。
…
夫がまだ学生の頃、父親が病気で他界。姑は1年間サクチェ(朔祭)という祭祀を行った。
サクチェとは正確にはサンマンジェ(朔望祭)と言って、亡くなった身内を忍んで毎月1日と15日に行う祭祀である。
1日の祭祀に供えられた料理は、数日の間その姿のままで食卓に並ぶ。その後、スープやビビンバのバリエーションを経て最後には細切れにされチャーハンに変身する。
ようやく食べ切ったと思ったら、またすぐに15日のサクチェ。
またまた振り出しに戻って食卓に祭祀料理が並ぶ。まさに無限ループ。
1年に24回のサクチェ。それに通常の祭祀と正月秋夕を足すと、その年の祭祀はなんと30回を超えていたことになる。祭祀の料理を365日食べ続けてるようなものだ。
作る人も大変だが、食べるほうも根気がいるな。確かに飽きもするだろう。
祭祀の料理が夢にまで出てきそうな話しである。
食べ盛りの息子たちから文句のひとつも出そうであるが、息子たちは一言も不満をもらさなかったそうだ。
夫を失い女手ひとつで5人の息子を育てている母親が、夫への恋しさに涙しながら誠心誠意を込めて祭祀を準備する姿を息子たちはしっかりと見ていたからである。
夫を失った悲しみや将来への不安を包丁で刻み、真心という調味料で和えた姑のサクチェの祭祀料理。おそらくこの世で一番贅沢でおいしい祭祀料理だったのではないかしら。
(アワビ大好き)
夜中の12時から始まるなんて凄すぎます。実は私も日本で一回、韓国で一回経験しました💦
子供達が幼稚園や小学生の頃なので、まぢきつかったの覚えています。韓国での時は、、큰며느리の우리達は全ての費用を出すデカイ顔してた。私はと言うと勝手が分からないので、片付けぐらいなもので💦
でも작은며느리は風呂にも何日か入れず法事が終わった日아주머니の手は真っ赤に腫れ上がっていたのを今も覚えています。
제사について、時々考えます。私もお嫁さんの立場で今まで제사の買い物、準備して来ました。私は在日2世、子供達は3世ですが3世達が제사をするかを考えた時、ギリギリやるかな〜と思っています。しかし、4世になると제사をしない時代が来るような気がします。50年過ぎた頃には제사をする家庭は確実に減っているでしょう。
このブログはお見事です。素晴らしいな〜の感想です。👏👏👏👏👏
지름떡って何ですか?済州島の方言ですか?
陸地人さん
기름떡の事です(^^)
油餅。ですかね^ ^
私も済州島ですが、これは昔オモニと作った記憶があります😊
手作りしたお餅をペタンコにしてお砂糖を付けた覚えがあるかなぁ〜
そのあと、ごま油を手に塗ってお餅に塗り塗り〜して食べました!
子供だったので、甘くて美味し〜!とパクパク食べました🤣
因みにウチの実家は今年からチェサをやらずに、お墓に行って簡単にやるようになりました。
時代は変わってきてます。確実に。
今までずーっと作り続けた オモニにお疲れ様。と最近伝えましたよ😬
제주도제사と륙지제사の違い
제주도제사は、必ず제사상の脇に문상?がある(あの世の友達?)も、招待する。私が思うには 身内が大変お世話になっていますの感謝の意?
제사상同様큰절もするしお酒も振舞う
料理のネタもかなり違う
供え物の形
륙지は🎏のように串に刺すが、제주は串刺し
例を挙げたら切りがない程
あー지름떡食べたーい‼️