ミスとジホは先ず、きっかけとなった映画の酷評を書いた評論家を訪ねた。アポは取ってなかったが、雑誌の取材という事で、インタビューに応じてくれた。
指定されたマンションの駐車場に車を停めるなりジホは驚いて言った。「質素なマンションですね」「バカね、ここは仕事場よ」と言って笑った。「業界ではかなり際どい批評で人気はあるけど、敵も多いらしいわ。そしてお金絡みでは、あまり良い噂は聞かないから、かなり曲者って感じね」と言いながら2人はエントランスで教えられた部屋番号を押した。
「あの、アポを取った「パニック」の者ですが…」と名刺をカメラに向けた。「カチャッ」とロックが外れる音がしてドアが開いた。2人はエレベーターに乗って指定された部屋で再びインターホンを鳴らした。「ピンポーン」「ガチャ」待ってた様に直ぐにドアが開いた。中から初老の男性が出迎えた。
「初めまして、記者のハンミスと言います。こちらはカメラマンのコジホです」と挨拶すると「ぺバンホです」と言うと踵を返して部屋の中に入って行く。慌てて2人も部屋に入った。
案内されたフローリングの部屋は案外こじんまりとした感じだった。壁の本棚はギッシリと本で埋まっている。本棚の前にも入りきらなかった本が山積みになっている。本棚の前の机の上は本や資料が乱雑に置かれている中、真ん中だけものを書くスペースが空いている。作業室とは違い何もない殺風景な8畳程の隣の部屋に2人は通された。部屋の真ん中にソファーセットが壁にはテレビが置かれている。
2人は改めて簡単な挨拶をして名刺を渡した。
名刺に目を落としながら「さて、金ハヌルに関する取材と聞きましたが…?」とバンホは視線を上げた。「はい、今回のハヌル主演の映画に対する先生の批評が何と言うか…非常に辛口と言うか、酷評だったので…」とミスは切り出した。
バンホは口元に薄笑いを浮かべながら「そうだね、厳しく批評したよ」と言うとタバコに火を点けた。「どの様な部分でしょうか?」とミスが掘り出すと「いや、作品自体は悪くないんだけどね…どうもキャスティングが良くなかった」「すると先生は主演のハヌルが良くない…と?」「ま、彼女だけではないけどね〜全般的に演技が雑だし、作品のクオリティに演技が届いてない…そんな感じがしたんだよね〜」「でも、金ハヌルの演技力は定評があって、彼女の演技が悪いと言うのは…」と食い下がった。
「演技力がないんじゃ無く、この作品に彼女がミスマッチだと言ってるんだよ。特に専門用語の多い作品だから…その…発音が聞きにくいと言うのかな?違和感しか感じなかった」「えっ…発音…ですか?演技では無くて?」とジホが横槍を入れた。少し言葉に詰まったバンホは「勿論それだけではないよ…これはあまり言いたくないけど…」と口を濁すとすかさずミスは「はい、勿論オフレコで…」と言った。
「彼女…在日出身者なんだよ。知ってたかい?」とバンホは2人の顔を見た。「聞いた事はありますが…」とミスが答えると「やはりね、ネイティブな発音とはちょっと違うんだよ。後…彼女日本にいる時に조총련の幼稚園にも通ったんだよね」「はぁ…」「そんなこんなでね、私の知り合いのスポンサーからもクレームが来てるらしいんだよ。だからね…」と言ってタバコを灰皿に押し付けた。
そして「あまり大声では言えない事だけどね。まあ、そんな所かな?じゃあここまでにしようか?」と言って席を立とうとした。
ミスは「最後に、ひとつだけ…」と言ってバンホの顔を見ながら「パート2ではシンエミと言う新人が抜擢されました。彼女の演技とハヌルの演技、どちらが?」と言うと「ま、新人には荷が重いかな?」と言うと苦笑いをして席を立った。
評論家の部屋を出た2人は悶々とした気持ちに包まれていた。「先輩、あれって演技どうこうじゃなくて個人的に好きじゃないから…って事ですかね?」とジホはたまらず言った。「そうね、ただ単に在日出身者で北韓と関わりがあるんじゃないかと言ってたけど…他にも何かあるわね。スポンサー…私の知り合いのスポンサーって言ってたわよね」とミスは声を上げた。
「はい、確かにスポンサーが良い顔しない、とか言ってました」「匂うわね…何かまだありそう…」と言うと「事務所戻るわよ」と言って車に乗り込んだ。
続く
いよいよ黒幕の登場ですか???😁
で、社名が「パニック」??? ウケるぅぅ~😆
しかし、バンホは辛口ですね~😢
在日のどこが悪いの? 何が気に食わないの? 少しムカッとしてしまいました~
ここでも差別の芽があるのかな~💦 ちっ~ 心の狭いこと💦
んで? んで? 話の続きは???👀