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介護のジカン―姑編⑮

いつものように姑の部屋のドアを開けると、信じられない光景が広がっていた。キッチンから部屋にかけて茶色い水で浸水しているのだ。これって… も、もしかしてトイレのオーバーフロー⁈ 姑は水浸しになった部屋でちょこんと座っている。

私は思わず玄関のドアを閉めた。(…見なかったことにしよう。)今日は打合せがあるので私は1時間後には外出しなければならない。(もうすぐヘルパーさんが来るから大丈夫…)そう言い聞かせながら自宅へ戻る。

だけど、やっぱり無視はできない。とりあえずお風呂洗い用のプラスチックのブーツに、マスク、ゴム手袋、バケツと雑巾数枚とファブリーズを持って姑の部屋に向かった。姑は相変わらず座ったまま。背中まで汚水に浸かっているのに事態に全く気づいていないらしい。何を考えているのやら。あ、何も考えていないんだっけ。

プラスチックのブーツを履いて中に入る。
私:ハンメー! 何したの? トイレに何を突っ込んだの!
姑:(ニコニコ)ねえさん、来たの?
今日の私は姑の“故郷のねえさん”だ。
私:ハンメ、背中まで濡れてるよ。ほら立って。あっちの部屋に行こうね
被害を免れた奥の部屋に姑を非難させる。
私:ハンメ、今から片付けるからそこから動かないでね
姑:(ニコニコ)そうね~
全く力が抜けてしまう。

マスクとゴム手袋を装着して雑巾に水を吸い込ませる。臭い! 雑巾を絞っては拭き、絞っては拭いて、どうにか原状回復に至った。最後にファブリーズを吹きかけて… 終了。柱の下のほうに茶色い線が残っている。(これはダンナにやってもらおう。これぐらい、やってくれるよね)

さて、最後はハンメのお風呂だ~。今日はちゃんと入ってくれるかな?この日は、なぜか今日はお風呂に入っても私の言うことをちゃんと聞いてくれた。“故郷のねえさん”には逆らえないのかな?

でも、なぜオーバーフローを起こしたのだろう? トイレを確認しても故障などしておらず、普通に流れる。これもまた、いまだ謎である。