12月11日の日曜日。大河ドラマを観た後に、NHKスペシャル「金正恩の北朝鮮~〝先鋭化〟の実態を追う~」をみました。
北朝鮮は今年に入ってから、今までかつてない多数のミサイルを打ち上げ、ロケット開発や核開発に拍車をかけています。NHKの番組取材チームは、北朝鮮から流れた大量の最新文書を入手し、衛星写真などから北朝鮮が国連安全保障委員会の制裁を逃れて、後ろ盾となっている中国に石炭の輸出を試みていることなどを明らかにしました。
ロシアによるウクライナ侵攻、パンデミック…、大転換期の世界地図のなかに北朝鮮を位置づけることに番組は成功していました。独自の調査報道に自信過剰になることなく、北朝鮮の専門家の意見を織り込んでいました。個人的には非常に力作でした。
4000ページもの最新文書が明かす内容
私が注目したのは、USBに入った朝鮮労働党組織指導部や朝鮮労働党出版社、秘密警察に相当する国家保衛省が、政府の幹部に情報を知らせる4000ページにも及ぶ文書でした。しかもその文章は2018年から2022年までの最新の情報であるという点でした。
北朝鮮の専門家である元公安調査庁の坂井隆氏と、慶應義塾大学教授の磯﨑敦仁氏が、その膨大な文章を分析し、本物と判断したことです。
膨大な文書が明らかにしているのは、まず、新型コロナによって、北朝鮮の政府が自国民に対する統制を強めているという事実でした。地方の住民の窮状と不満が文書に盛り込まれていました。
「新型コロナウイルスのせいで(生活が)もっと厳しくなる。一部の薬は在庫がなくて買えなかった」と。また新型コロナを「国境封鎖を破ろうとする犯罪行為との闘争」と位置付けていました。「非合法な越境や密輸入、非合法な携帯電話の使用行為などを発見すれば、該当法機関に申告すべき」さらには、住民が国境に近づけば「無条件に射撃する」と。
今年7月から8月にかけて、中国側から北朝鮮国境を映した映像が流れます。そこには、マスク姿の女性兵士が国境沿いに鉄条網を張る作業をしている姿でした。
北朝鮮の核開発の今
文書には、金正恩氏の新しい政治思想のタイトルが躍っているものがありました。「わが国家第一主義時代を輝かせていくことについて」という文献に、慶應義塾大学教授の磯崎氏は、次のように分析してました。
「ナショナリズムですよね、一種の。貧しさと闘っている人々に対して、世界に誇れるだけの核ミサイルがあるのだという国防力、それを指示している、命じて作らせている金正恩氏、こんな若くすばらしいリーダーがいるのだという体制の宣伝ですね」と。
また、米国のミドルベリー国際大学院教授のジェフリー・ルイス氏は、12年4月以降の衛星写真の分析から、北朝鮮は核の「開発」からすでに「配備」の段階に達している、と警笛を鳴らします。
「(ミサイルの)発射カ所は当初は少なかった。しかし、いまでは30カ所に拡大している。しかも、鉄道の輸送車両や潜水艦からの発射も可能になっている。大陸弾道弾のICBM級のほかに発射されている、短距離の9種類にも及ぶミサイルは迎撃が難しい」と。
北朝鮮をウォッチしている米国の研究団体「36ノース」代表・ジェニー・タウン氏は「核実験は17年の6回目の核実験で、ICBM級を目指して以降、止まっている。しかし、核施設は確実に動いている。7回目の実験の準備に入っているとみている。寧辺の核施設は再稼働している。ここの原子炉はプルトニウムを生成している。冷却システムが付近の川に流している排水を衛星写真でみると、昨年夏から原子炉が稼働していることがわかる。この原子炉では、年間に6キログラムのプルトニウムを生産することができる。核爆弾1個あるいは2個に相当する」と。
韓国国防研究院の北朝鮮軍事研究長のイ・サンミン氏は「戦術核は、戦争の相手の基地や軍事目標に対して使用することを想定したもの」と語ります。9月から10月にかけて、発射されたミサイルは、その戦術核の試験をしているのではないか、と推測していました。
「こうしたミサイルの射程は、約600キロメートルだった。釜山などが射程に入る。(戦闘状態になったら)米軍が上陸すると想定されるプサンを叩くことができる。射程が約350~360キロメートルなら、韓国軍と在韓米軍の基地が狙われる」
さらに、「韓国の大都市を攻撃するというよりは、韓国の空軍や海軍の戦力を弱体化することを狙っているとみられます」「北朝鮮は、韓米に対して、通常兵器では勝てないため、戦術核を抑止や攻撃のために使おうとしている」と。
中国・ロシアとのつながり
そして番組はロシアのウクライナ侵攻と、それに反対しない中国が、北朝鮮の〝先鋭化〟を助けていることに切り込みます。
ウクライナの東部ドネツク州を掌握しているとされる、親ロシア武力勢力のリーダーは語ります。「北朝鮮の建設労働業者は高い能力を持ち、規律正しく、素晴らしい。復興作業に北朝鮮などから建設労働者を誘致するために交渉を始めている」と。
取材班は、船舶の位置情報を発信する「AIS」システムに注目。北朝鮮からの船舶の動きを追ったところ、北朝鮮最大の港である南浦港から、中国・山東省の竜口港へ頻繁に北朝鮮籍の船が着き、衛星写真から荷下ろしがされていることを発見。その荷物に注目します。
元・国連安保理北朝鮮制裁委員会専門家パネル委員の竹内舞子氏は、「中国に積み下ろされた物質は、石炭の可能性が高い。北朝鮮に対する11年の国連の制裁によって、他国は輸入が禁じられた。国連の安保理事会が、(北朝鮮に対し)断固たる態度をとれない。(輸出の資金で)北朝鮮は、軍事技術を向上させる非常にいい機会になっている。安保理の制裁が最も危機的な状況になっている」と。
在韓米空軍のトップである、第7空軍のスコット・プレウス司令官は、「地域の緊張は高まっている。これまでにない数の挑発行為を憂慮している。米国・韓国・日本は、いかなる挑発行為にも対応できるように日々備えている。私たちの目標の第1は、『休戦状態』を維持することだ。抑止力がカギになる」
世界地図の大きな変化のなかで、北朝鮮を多角的に位置づける今回のドキュメンタリーは、バラバラだと思っているに過ぎないピースを組み合わせ、北朝鮮の〝先鋭化〟の実態をわかりやすく、かつ的確に観るものに迫っています。
再放送の予定は今のところありませんが、発表されたら是非見てください。
さすがNHK❗❗
昔、北で「世襲」問題で、在日の総連離れが激しかったけど、こんなNHKの番組を見たら、さらに離れて行くような気がするんだけど~🤦♂️
もっと建設的な情報を知りたいし~ 流してほしいと思うよ~😞
在日の努力が、一瞬にして無駄になっちゃうような~💦
あ~あ~ また無償化が遠くなっちゃう~💦
やられたら、やり返す…!
まるで半沢直樹の世界~!
今度は偵察衛星~!
在日の子供たちのこともちっとは考えてくれよ~
私はNHKのドキュメンタリーやリポート番組が好きです。時々逸脱した「やらせ」のようなものもありますが、中立的に事実を掘り下げる気がするのです。依って、この番組もミサイルだけを取り上げる最近のニュースとは少し違うように思えました。
ミサイルや核に依存する朝鮮のやり方には賛成しません。もっと他に使いなさいよ、と憤りもあります。が、小さい国が大国に示す抑止力はこれしかないのかとも少しだけかんじるのです。この番組を見ていませんし、この記事もまだ一度しか読んでいません。ちゃんと見るなり読むなりをしたいと思います。