【投稿】Ｈ君の若きし頃の「ヤンチャ話」

最近の若者たちは相当ストレスが溜まっているらしい。回転寿司店に行き、他人が注文したお寿司にわさびをたっぷり乗せたり、醤油差しをペロペロ舐め、その動画をSNSに投稿する狼藉ぶりだ。

後先のことを考えないその行動には、正直唖然としてしまう。すぐに学校名や名前が世間にさらされることになる。 事件がニュースになると、少年は親と一緒に謝罪に行ったそうだが、回転寿司チェーンは受け入れなかった。

謝れば済む問題ではないのだ。迷惑動画は瞬く間に拡散され、回転寿司チェーンの大手スシローは株価が下がって百数十億円の損害が出たのである。 こういう損害に対して、少年は一生つぐなっていかなければいけない。

厳しいようであるが、大人の社会というのはきちんとしたルールがあり、それにのっとって大勢の人たちが生活をしている。おそらく事件をやらかした若者は、自分たちもユーチューバーの一人になったような錯覚を起こしたのではないか。

そういう私もつい最近、同級生の過去の失態について、また新たな情報を仕入れてしまった。

今でもそうだが、朝鮮大学校は全寮制である。入学時の1年生の頃は、大学の3年生と約半年間、同じ部屋で寝起きし、高校生活の延長としての生活習慣を根本から直され、大人としての自覚を持つように厳しくもやさしく先輩たちから指導される。なので同じ部屋で先輩たちと過ごす半年間の生活は、先輩・後輩を越えた兄弟みたいな間柄になり、とても仲良くなる。

そんな同級生のH君、中学～高校と有名な逸話はいくつもあるが、大学に入学した途端、やんちゃな生活はどこへやら「仏のH君」と呼ばれていた。大学の4年間は修行僧のように勉学とクラブ活動に励み、卒業後は某朝青支部のイルクンとして働き出した。そんなH君は義理も固く後輩たちからも尊敬された。

そして社会人になって２年後、大学時代に同じ部屋で半年間過ごした２年下の後輩たちが、朝大を無事卒業するということを知り、同じ部屋だった同級生と相談し、国分寺で卒業祝賀会を開くことにした。

駅近くの居酒屋では、後輩たちを大いに激励し、お酒も振る舞い、始終にこやかで上機嫌であったという。居酒屋で酔いが回った卒業間近な後輩4名は、何日後に迫る卒業式を前にちょっと興奮したのだろう、居酒屋を出て駅に向かう商店街で少し声を張り上げて、はしゃいだそうだ。

そうしたところ後ろから、パンチパーマをかけた街のヤクザ者６名ほどが「てめえら、チョーセンうるせえんだよ！」と因縁をふっかけてきたのだ。

同級生のH君、卒業間近に後輩たちが事件を起こしては大問題になると、後輩たちをたしなめた。後輩たちもそれに従いヤクザ者を無視し、帰路に着こうとしたが、180センチもあろう巨漢のパンチパーマのヤクザ者が、後輩の一人をめがけて背後から飛び蹴りをしてきたのだ。 そこでヤクザ者と朝大生の喧嘩が始まってしまった。

同級生のH君、喧嘩の間に入り仲裁に入った。すると巨漢のパンチパーマが、突然H君に殴りかかってきたのだ。一気に同級生H君は導火線に火がついてしまったーーー。駅前交番の警察官はパトロール中で、ちょうど不在中、喧嘩は6対6の団体戦に発展する。

近所の通行人が警察署に通報したのだろう。パトカーが到着するまでの間、国分寺駅前は大立ち回りが始まる。駐輪場の自転車は投げるわ、後輩たちの応援に入るわ、H君の喧嘩は止まるどころかその激しさは収まらなかった。

すると遠くから何台ものパトカーのサイレンの音が近づいてきた。それを聞いたH君。「俺一人が残るから早く身を隠せ…」と、後輩と同行してた同級生をすばやく逃がしたのだ。

そして深夜の小金井警察署。喧嘩の当事者のH君とヤクザたちは署に入り事情聴取になったが、喧嘩を仕掛けてきたのは相手のパンチパーマだ。 H君は止めに入ったのにパンチパーマが殴りかかってきたので、自分は被害者だと言い張った。 

警察官：「 Hさんの言い分はわかりました。 でもね、相手を見てください」
H：「…」

喧嘩をふっかけてきたパンチパーマのヤクザの鼻は折れ、歯は何本か折れ、顔面は原型をとどめないほどの血だらけ状態だった。

警察官：「向こうに非があったとしてもちょっとやりすぎでしょう」
Ｈ：「いや、れっきとした正当防衛です」

結局、喧嘩両成敗ということで、お咎めなしの釈放となったが、SNSで発信できる昨今、動画でも映されてたらと思うと、H君の主張通り「正当防衛」が成立するんでしょうか？

今ではそんなやんちゃな片鱗も見せない「仏のH」君のむかしのお話でした。

でも「仏のH」君って誰だ？　それは絶対、聞かないでね（笑）