初夏のうららかさを感じよう

【投稿】韓国の“はかない夢”

今年の7月末、韓国の「クォンタムエネルギー研究所」の研究陣が「変形した銅を加えた鉛アパタイト(LK-99)構造で、常圧で作動する常温超伝導体の合成に世界で初めて成功した」と明らかにした。

この大ニュースは残念なことに 8月に入って急速にしぼんでしまった。 化学雑誌「ネイチャー」は、世界各国の追試試験などを総合して、LK-99は超電導物質がないと断定した。

クォンタムエネルギー研究所がある雑居ビル

超伝導体とは、電気の抵抗を帯びないため、エネルギーを損失せず電流を伝達できる物質だ。このため、人類の科学技術に画期的な変化をもたらす「夢の物質」と呼ばれている。

クォンタムエネルギー研究所が公開したLK-99

LK-99は、鉛、銅、リン酸の混合物を高温で焼いて作られたとされるが、この実験を再現してみると、不純物として硫化銅が発生することがわかった。硫化銅の伝導度を測定してみると、105°C付近で急激に電気抵抗率が低下することが判明した。

しかし本当の超電導のように電気抵抗がゼロになるわけではない。 韓国の研究チームは、どうやらこの抵抗変化を見て「常温超伝導発見!」と早合点してしまった、ということらしい。

この韓国の報道を見て、2000年代に起きた「ES細胞捏造事件」と重なり合ってしまうのは私だけだろうか。

ES細胞論文を捏造した黄禹錫博士

ソウル大学の黄禹錫ファン・ウソク教授が、世界に先駆けて人のES細胞を作成したと発表し、韓国で一躍、国家的スターとなった。「韓国初の化学分野でのノーベル賞候補」だともてはやされたものの、それは捏造ねつぞうによるものであることが発覚。黄教授は大学を追われ、詐欺、業務上横領、生命倫理法違反などの罪で起訴されるまでに至った。

しかし、今回の常温超電導物質発見のニュースと少し違うのは、意図的なでっち上げではないということだ。 私たちが注意しなければならないのは、「捏造ねつぞう」と「誤認ごにん」とは全く違うということだ。

捏造」とは意図的なでっち上げのことであり、これは絶対許されない行為だ。一方「誤認」は意図的ではない一種の勘違いだ。これは誰にでも起こりうることだ。 

この記事を書くにあたって、あらためての黄禹錫氏の消息を調べてみたら、これがびっくり。 もともと獣医学者だった黄氏は、アラブ首長国連邦(UAE)に行って、ペットのクローン再生を始め、富裕層向けのビジネスを展開していた。

Netflix「キング・オブ・クローン」

黄禹錫氏はNetflixで「 キング・オブ・クローン」として特集されるまでに復権を果たしていた。 さすが「再生医療研究者」だ。しぶとく生きている。

3 COMMENTS

おそまつ。

科学や考古学の世界の事はよくわからないけど、世界に恥をさらしたと記憶しています。図太い人ですね。ちょっと💢

クォンタムエネルギーの研究者達はさぞかしガッカリしているでしょうね、残念です。

割烹着着てた~👀

よく分かんなけど~映画の宣伝なの?人物の紹介なの?👀
一瞬、PS細胞の小保方さんを思い出しちゃった~😊
あの方は、もう研究者を辞めちゃったのかな?
先日週刊誌のグラビアに載ってたよね~👀

앞치마

黃禹錫氏の研究をめぐって韓国は国をあげて浮かれ気味でした。小保方晴子さんのSTAP細胞をめぐる一連の騒動を見るにつけ、良くも悪くも、韓国と日本はよく似ているところがあると思いました。

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