「おーい!この原稿ここに置くぞ!」「何やってんだ!こんなレイアウトじゃ読者の目に付かないじゃないか」「この絵コンテやり直しだぞー」騒がしい編集室の一角でカンミスは原稿をワープロに打ち込んでいた。
小柄だが引き締まった体付きの彼女は多くのスクープをものにして来た。学生時代はバレーボール選手で名リベロ(守備専門の選手)として名を馳せたが、怪我のためリタイアした。めげない彼女は持ち前の粘りと努力で新聞記者を目指したが壁は厚かった。
結局大手の新聞社には入れず、芸能雑誌に就職をしたのだった。雑誌の名は「ショッキングトゥルース」略して『ショック』!ゴシップ記事が多いが、スクープを良く出すこの雑誌は業界では結構名を売っていた。
短めの髪を後ろに束ね、ちょっと垂れた目尻と通った鼻筋、引き締まった口元、化粧っ気はないが張りのある頬…目とは正反対の細く吊り上がった眉毛が印象的だ。ふと手を止めたミスはある新聞の記事を思い出していた。
(あの金ハヌルが降板か〜何かありそうなんだけどな〜匂うな〜)とゴシップ記者らしい嗅覚で興味を持っていた。そんな時「おーい、ミス!」とデスクが呼んだ。
ミスは頭の禿げた小太りなデスクの前に立った。机の上にはパソコンが置かれ、普通の編集者の机とは違い資料が整然と並べられている。身だしなみもオシャレで淡いブルーのシャツに黄色い蝶ネクタイを締めてブルーのジャケットを羽織っている。
学生時代はサッカーの選手で国家選手にも選ばれそうになった(本人曰く)デスクは鋭い目付きで小さな口に似合わない大きな声で喋り出した。「金ハヌルの周りを調べてみろ!何かあるかもしれないぞ」(あ、私と同じ事…さすがね)と感心しながら「わかりました」と答えて席に戻った。「金ハヌルか〜面白くなりそうね」ミスは頷いて不敵に微笑んだ。
ハヌルは憂鬱な日々を過ごしていた。例の件以降、確かに仕事は減って行った。今までがハード過ぎた事もあるが、ちょっと拍子抜けするこの頃であった。「良いじゃない。たまにはゆったりと仕事をやろうよ。今まで頑張り過ぎたから…」とマネージャのチは慰める。
だが、テレビ局等でのスタッフの目付きとか、何気ない見下ろした態度…雰囲気は確かに今までとは違っている事を感じる。気にはすまいと思うが、待遇の違いや、スタッフのぞんざいな態度を感じるとイラッとする。その度に(私ってこんなに小ちゃい人間だったのかしら?)と自分に嫌気がさすハヌルであった。
こんな事もあった。廊下の角を曲がった所でスタッフと出会い頭でぶつかった。今までならスタッフが頭を下げて謝罪したが、当たったのがハヌルだと解った途端顔をしかめて「チッ」と言って睨みながらすれ違って行った。ハヌルは呆気に取られて立ちつくした。
そしてある日問題が起こった。収録の仕事でテレビ局の楽屋に入ろうとした時だった。今まで1号室はハヌル専用の楽屋だったのだが、その入口にはエミの名前が…そしてハヌルは新人との相部屋になっていた。
…
「えっ!そんなあからさまな嫌がらせやります?」とスジンの話を聞いていた操は驚きと怒りが混ざった表情でスジンに迫った。「ちょちょ…ハハハ。俺が悪いんじゃないんだけどな」と笑いながらスジンは両手で優しく操の肩を押し返した。
「あの世界じゃザラにある話らしいよ。言葉の通り弱肉強食の世界。スキャンダルや人気が落ちた人は、情け容赦なく仕打ちを受ける。その代わり成功したら大きな対価を貰える。華やかな世界だけど、光が強ければ強いほどその陰はもっと暗く深くなる…そんな世界なんだろうね」と言うとスジンはタバコに火を付けて「ふー」と煙を吐き出した。
「でもね、そんな諸々の一件でハヌルさんは大きなダメージを受けたんだよね。そして…」と話を続けようとすると操の母の春江が「あ、もしかして…失踪した話?」と口を挟んだ。
皆がいぶかしがる中スジンは「え?お母さんは知ってるんだ。日本ではあまり話題にはならなかったけど…」と話を続けた。
続く
「小柄だが引き締まった体付きのカンミス」~新しいキャラの登場ですね~😊
しかし~ スジンはこの物語を、全部しゃべっちゃうの? このバーで???
書籍化して売りつければいいのに~😢
って~ 余計なお世話~🤦♂️
その失踪事件ってなんなの? 気になる~
んで? んで? 続きは~来年???
ん?そうくるのね。そう来たらこう来るか?と妄想を巡らすのもオモロイです😊
いつもアンガト👍
今年もいよいよ終わりですね。
いつも「ボス」をご購読いただきましてありがとうございます。
皆さんにとって今年はどんな年だったでしょうか?
来年が28期の皆さんに良い年である事を祈ります。
来年もこのブログ及び小説「ボス」の応援よろしくお願い致します。
새해에 복많이 받으세요.