10月は秋の気配

【スマホ小説】ボス 24

チは成田行きの『プサン航空』に乗っていた。飛行機の窓の外には玄界灘が広がっている。空の上から見える海面は太陽の光を浴びて宝石を散りばめた様にキラキラと眩しく輝く。チは逆に夜の海面は、果てしなく暗い暗黒に引き込まれそうで恐怖を覚える。

そのギャップは正に芸能界と良く似てると思った。(ヒャン…あなた、本当にこれで終わっちゃうの?)チはハヌルの事を案じていた。

ハヌルからの電話を受けたチは背後に聞こえる雑音を聞き逃さなかった。「しんじゅく〜しんじゅく〜」かすかに駅のアナウンスが聞こえた。すぐに社長に電話をしたチは、日本への出張の許可を得て飛行機に飛び乗ったのだった。

(新宿って言うと…やはりボス氏の所ね。勘が当たったわ)一刻も早く韓国に連れ戻って元の鞘に収めなくてはならない…まだ誰にもバレてない今の内に…はやる気持ちを抑えてチは拳を握りしめるのだった。

ミスとジホを交えた編集会議は大詰めを迎えていた。デスクが立ち上がった。「よし整理するぞ。先ず、いま判っている事はハヌル主演の映画が封切られた頃から徐々にバッシングが始まった。きっかけは評論家の酷評。それからほぼ決まっていた第2弾の主役を何の通告もなく降ろされた。

同時にハヌルに対するホームページへの悪質なコメントが出始め、テレビ局の冷遇、担当PⅮの待遇の変化、スタッフの対応の酷さが目につく様になった…こんなとこか?他に何か気になる事がないか?」とデスクが言うが反応はない中、ミスが手を挙げた。

「ちょっと気になる事を耳にしたんですが…」「なんだ?言ってみろ」皆が耳を傾けた。「ここ何日かハヌルの顔を見た人がいないんですよね。仕事もキャンセルしてるみたいだし…」「ストレスで寝込んでるんじゃないか?」デスクはあまり気にしてはいない。「はぁ…」

「気になるなら事務所で聞いてみろ」と言うと「それじゃ裏を取ってもう一度集まる。解散!」と言って出て行った。

続く

1 COMMENT

君が代丸

玄界灘ねぇ~🤦‍♂️
我々には、何となく苦い響きの言葉ですね~💦
んで? んで? ハヌルはどうなるの? ボスの胸の中? 子供が「新しいオンマは韓国の大女優💖💖💖」って喜びそう~😍

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