介護のジカン―姑編㉑

姑には決まった〈仕事〉がある。うちに来た時は洗濯物をたたむことだが、自分の部屋にいる時は引き出しの中身を出しては入れ、出しては入れるの繰り返し。認知症の〈同じ行動を繰り返す〉という症状らしいので、いつも飽きるまでやらせている。でも、これが飽きないんだな~。1時間でも2時間でも延々とやり続ける。そして、その過程でなぜか物が消えたり増えたりしていく。

施設の入居が決まったので姑の部屋を整理しようと、姑がデイサービスに行っている間に引き出しを開けてみた。衣服の引き出しには衣類の中にメガネや食器や指輪やヘアーブラシなどが同居している。

見慣れない物もちらほら。「これは何だ?」と取り出してみる。空き缶が数個。中には油でベトベトのサバの空き缶まで。
「あれ?もしかして内緒で食べたのかな?」

でも、そんなはずはない。これはゴミ置き場に捨ててあった「空き缶のゴミ」をわざわざ持ち帰って大事にしまっておいたようだ。おかげで衣類も油だらけ…
それでも私はへこたれない。これぐらいのことは、もう慣れっこなのだ。

こないだなんか、姑が見慣れない布団を敷いていたので起こしてみると、ところどころ穴から綿がはみ出している泥だらけの敷布団だった。それもゴミ置き場から持ってきたものだったのだ! だけど、私は怒らない。口では勝てないし、怒っても姑が委縮するだけで後がもっと大変になるから。でも腹が立つから、その布団をハサミでズタズタに切り裂いてゴミに出した(笑) こんな些細なことでもストレスは解消されることを私は知っている。

だから引き出しの中の空き缶も油でベトベトの衣服も、ゴミ袋にポイポイ投げ入れる。そう、輪投げのように。ささやかな抵抗、ささやかなストレス解消法である。