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【書籍】李の花は散っても

大磯の別荘で新聞を開いていた当時14歳の梨本宮方子は、自分が朝鮮の李王家の世継ぎと婚約したことを知って愕然とする。「日鮮融和」を名目にした政略結婚だった。

この本は皇族出身の方子の生涯を通じて、韓国が日本の支配下にあった時代から戦後までを描く深沢 潮さんの歴史小説だ。

深沢 潮さんが方子に興味を持ったのは、韓国旅行で王宮を訪れた時だった。縁はそれだけではない。深沢さんは現在日本国籍を所得したが、父方は李王家の傍系の子孫だという。

小説を書くにあたって参考になったのが、方子の日記と自伝だという。日記には実家を訪ねてきた李垠に初めて近づいたら、体にビリビリと電流が走ったという記述があり、10代の女の子が運命を受け入れて婚約者に思いを寄せていたことがわかる。 2人は 1920年に結婚をする。2人が住んでいた邸宅は現在も、千代田区紀尾井町にあり結婚披露宴や会食などに使われている。

深沢さんは当時の庶民の生活や朝鮮半島の状況も書こうと、マサという架空の女性を登場させる。 関東大震災、戦後の韓国などがマサの視点から描かれている。

当時の政略結婚で、自分自身の生き方を選ばざるを得ない人にも苦しさはある。韓国の宮殿や日本人妻が暮らす慶州ナザレ園なども取材し、小説を書くにあたって力を出し切ったと深沢さんは言う。 構想から7年をかけた労作だ。

機会があればぜひ読んでみてください。

深沢 潮( ふかざわ・うしお)
東京都生まれ。両親は在日韓国人で父親は在日1世、母は在日2世、自身は1994年の在日コリアンとの結婚(のち離婚)・妊娠を機に日本国籍を取得。1989年上智大学文学部卒業後、外資系金融会社勤務や日本語講師などを経験。2012年『金江のおばさん』で第11回「女による女のためのR-18文学賞」大賞受賞。『ひとかどの父へ』『緑と赤』『海を抱いて月に眠る』など在日コリアンをテーマにした多彩な作品を次々に発表する。

1 COMMENT

読みたい本がいっぱい~💕

ああ~ あの李方子の話ね~ 立派な方ですよね~👍
前にブログで紹介してもらったから、その時に読みました~
この本も面白いのかな?読んでみよっかな~👀

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