初夏のうららかさを感じよう

【書籍】「父の革命日誌」チョン・ジア

皆さんはチョン・ジアという作者をご存知だろうか。1990年に韓国で自分の両親のことを書いた長編小説「パルチザンの娘」という書籍を発表するが、国家保安法により発禁処分になり、作者も指名手配され長い逃亡生活を送り、6年後に賞を取って再デビューする。

作者のチョン・ジアさん

そのチョン・ジアさんだが、今回の書籍も、両親の生き方を娘の目線で描いた小説になる。 しかしどことなく、ユーモアと悲哀に溢れた内容だ。

社会主義を信じ、より良い未来のために命を賭して戦い敗れ、やがてやってきた資本主義社会に押し流されるように、社会の底辺へと押し込められた両親たち。社会はあっさりと変わったが、しかし両親は変わることができなかった。 

韓国では「アボジの解放日誌」という名前で2022に発刊

でも両親たちは、自分たちがどんなに困窮しても、民衆を見捨てることはしなかった。みんなに騙され、裏切られ、馬鹿にされても「彼らにそうさせたのは社会の構造に矛盾があるからであり、その人が悪いわけではない」と、恨むこともしなかった。

そんな両親と娘は、なかなか分かり合えないが、そんな中で訪れたアボジの死。自分自身の気持ちとは裏腹に、葬式の準備に翻弄される娘の前に、次々と生前のアボジを知る人物が現れる。

私たちの在日の歴史は複雑だ。朝鮮戦争時には、韓国の建国に反対して抵抗し続けたパルチザンがいた。戦争終結後もパルチザンは活動を続け、韓国ではその討伐作戦は何年も続いたのだ。そういった私たちの歴史を知っていれば、よりこの本を深く理解することが出来るだろう。

葬式という固定された舞台に、次々に登場人物たちがやってきては去っていく。三日間の葬儀が終わった後、娘は父の思い出の場所を回り、遺骨を撒く。

この小説を読んで、私たちが今まで生きてきた2つの世代、2つの世界に橋をかけるようなラストには、少しだけだがわずかな希望を見いだせるような気がした。

「父の革命日誌」。いま書店で発売されてます。

4 COMMENTS

パルチザン

へぇ〜 こんな本もあるんですね👀
興味深いね👀 読んでみよっと👍
こう言う記録は残さないとね〜

便利な図書館

図書館にリクエストしました。
在庫あったね。

面白い本📕

本か~、読まなきゃな~、スマホばっかりになっちゃってダメだな~。
今、とても面白い本をよんでるけど、かれこれ半年位たってしまって😭
その次に読もうかな~📚

読んでみるか

ありがとう。こういう情報はうれしいですね。
さっそくAmazonでポチリました。

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