しばらくしてミョンジャが談話室に入ってきた。「来たか、まあ座れ」ミョンジャは下を向いたままソファーに座った。「悪かった。ミョンジャの話を聞いてやれなくてすまん。」その言葉にミョンジャは顔を上げてヒョングをにらんだ。そして悔しそうに唇を噛みしめて言った。
「ソンセンニム、なんで話を聞いてくれなかったんですか?この間、私がどれだけ苦しかったか…それでも…」と言葉を詰まらせたが、次の瞬間「それでも担任ですか?」と大粒の涙を流しながらヒョングを責めた。感情が一気に爆発してミョンジャは声を出して嗚咽した。
ドアの外で聞いていたのか、エミョンが談話室につかつかと入ってきた。「ソンセンニム、何でこんなになるまでほっといたんですか。言いたくないけど…誰もソンセンニムのこと担任だと思ってないし…」ヒョングは胸をえぐられるような痛みを感じた。
エミョンのあとからキョンスクが入ってきた「エミョン、言い過ぎやで。ミョンも泣き止み。ソンセンニム、後日、落ち着いてから話をしたほうがええんちゃいますか?」「そ、そうだな…そうしようか…」 正直に言うと、ヒョングはキョンスクに救われたような気がした。ヒョング自身、どうすればいいか分からなくなっていたのだ。キョンスクが取り持ってくれたおかげでその場は少し落ち着き3人は出ていった。ヒョングはソファーに倒れるように座り込み、しょんぼりとこうべを垂れる。
隣の教員室で一部始終を聞いていた教務主任が談話室の扉を開けてヒョングの向かいに座った。「あのな、ヒョング先生、先生は最近イベントで花形の仕事が多かったけどな、基本は学生指導なんやで。それを疎かにして何の先生や」と少し強い口調で語った。
ヒョングは、なおもうつむいている。「先生、顔を上げ」ヒョングがこうべをあげた。「ええか、生徒をなめたらあかんで!」それは凄みのある重い一言だった。