ジンスーMy love ②

ジンスが隠れている柱の前まで来て彼女は「멀리서 보였다 ,ジンス!」と言う。名字も言わず名だけで呼ばれたのがちょっと嬉しい。

彼は「ハハハ、강현주 오랜만이다」と笑顔で返した。モスグリーン系のコートの中は白いワンピース。ダークブラウンのロングブーツ姿の彼女はハニカミ顔で手を差し出し握手を求めてきた。

ジンスは頭の中で何故か関西弁で(イケてるやんけ)と語りつつ彼女の手をグッと引きいきなり抱きつき軽く持ち上げた。そして「잘 왔다」と繰り返した。현주はされるままただ笑っていた。

…二人は朝大時代同じ学部で過ごした同級生だ。大阪出身なので共有した時間や共通の思い出も4年の期間に限られる。

大学時代は特別な男女仲にもなっていない。卒業後に同窓会が数回あったが彼女は一度しか参加していないしそれが十数年前の事だ。その時点で彼女は人妻だったし二児の母親だった。学校の先生も辞め専業主婦をしているとの記憶がある程度。なので他の同級生からすれば二人だけの再会など想像すらできないはずだ。

きっかけは1998年の正月にジンスのもとに彼女から初めて届いた年賀状だった。お決まりの새해인사のあとにこう綴ってあった。
<〜최근들어 자꾸만 ジンス 생각이 나요. 정말 그립다. 다시 볼 날이 있을가?만나고싶다…>

これって何かの告白?困惑よりも喜びが先走った。年賀状の事は妻には言えない。当然隠した。日をおかず大阪出身の男子同級生に電話をかけ彼女の連絡先を聞きだした。それから彼女に電話し年賀状のお礼を述べた。彼女は教師に復帰したらしい。教研や芸術競演などで東京に行く機会があるので時間と都合が合えば꼭 만나자と話していた。ジンスに異存などない。

その後二人は度々連絡しあった。でも二人の再会が実現したのはそれから更に2年以上の年月を費やした…ジンスは唐突に「今日はどうするの?」と第一声を発した。彼は何も決めてないとの返事を期待していた。

「えっと、新橋の第一ホテル予約してあるねん。明日も早目に帰るしな。荷物あるしチェックインを先にしたいんやけどいい?」

ちょっとガッカリ。気取られまいとジンスは荷物を受け取り「じゃ、タクシーで行こう」と返事を待たずに歩きだした。二駅なのに誰かに見られたらヤバいとの警戒感がそうさせる。程なくホテルに着いた。彼女は5分だけ待ってやと言い残し、受付をしてエレベーターに乗り込んた。イケない事は無しよと線引きされたようで残念な気分がもたげる。しかし一つの事だけは明確になった…

         続く

1 COMMENT

匿名と言う名の匿名

おいおい。
いきなりホテル?
スピード感あふれるな〜笑
次の展開が楽しみです。

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