남식と정혜の関係に春は訪れなかった。남식の本心を知って정혜は踏みとどまるしかなかったのだ。ジンスは남식と会って話し合った。そして驚くべき事実を知った。남식はプチ同窓会の一年以上前に離婚していたのだ。彼の奥さんは日本学校を出た在日の人。結婚式も挙げなかったので、誰も見たことがない。性格の不一致が離婚要因との事だ。
彼は再婚願望などないとも言っていた。気負いなく話せる異性が정혜だったし、好感もあったと認めた。でも、彼女の話を伝え聞いた時の彼は茫然自失の体だった。
その後、彼はすぐに정혜に会い、平身低頭して謝ったと知らせてきた。二人の間に性的関係もなかったらしい。でもジンスは心を癒やす方が大変だぞと思う。事の顚末が噂で広がらない事と、流れる時が二人のわだかまりを溶かしてくれるのを願うばかりだ…
선미の紹介によって、知った会社から内装工事を受注した。飲食業で居酒屋を数店舗営むので、ジンスは気合十分で工事に臨んだ。広い空間なので手間がかかるが利益も大きい。首尾は上々で、先方から他の店舗の改装時も是非お願いしたいと申し出があった。
何よりも、春先に今年を見通せるようになったのがありがたい事だった。ジンスは次の仕事の段取りをしながら、선미にどんなお礼をするか思案する。まずは電話をかけた。「姉さん、ホント助かりました。今度お礼しますから」と挨拶すると「良かったね。相手もいい業者とつなげてくれて助かったと、私に感謝してたよ。それが一番嬉しいから」とお褒めの言葉が返ってきた。
「それはそうと、アンタ정선のお店にまだ行ってないでしょ? あのコ待ってるから気楽に寄ってあげてね」と話題を変えたと思いきや「あっ、他の連絡入ったからまたね」と電話をきった。相変わらず忙しい姉さんだ。
仕事も一息ついたし、明日は土曜日だ。(妻になんて言って出かけようかな)と、思考を巡らしてから彼は、携帯に保存してある정선の番号を探し発信ボタンを押した。明日行けそうだと伝えると、彼女は狂喜したような声を出し「夕方4時頃ならお客さんいないから、その時間に来て欲しい」と言った。
ジンスは必ず行くと約束した。(お客がいないって、こりゃなんか起きそうじゃん)と卑猥な期待感がジンスの心をツンツンする。
次の日の夕方、ジンスは軽快な足どりで정선が営む美容院に向かっていた。そこは、7階建て雑居ビルの2階。美容院は大きな店構えではなく、重厚な扉が一つだけ。日本語と韓国語、それに中国語で書かれた店名看板が掲げてあった。妖しい雰囲気にジンスは顔をしかめながら、恐る恐るドア横にあるインターホンを押した…
続く
あれ〜?
何となくヤバげな感じ…
変なエステじゃない事を祈るばかり。
🙏🙏🙏