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介護のジカン―父親編②

年を取ると病気の進行が遅くなるというが認知症だけは例外のようだ。父はボケ道をまっしぐらに進んでいる。だが脳は衰えても食欲は衰えない。3食どころか4食でも5食でもペロリと食べられる。食べ物を見たら飛びつく。それに肉が大好き。豚肉を茹でた日なんか手づかみでガツガツ食べる。それも、あっという間に。

私たちが食べ始めた頃には父の食器は空っぽになっていて、私たちの皿にまで手を伸ばす。そしてテーブルの上をめちゃくちゃにしてしまう。食べものをあげないとテーブルを両手でたたく、たたく、たたく。この頃には言葉もあまり話さなくなっていた。

長女:アボジ、やめてよ!今食べたじゃない。あまり食べると体に良くないのよ。それに後が大変なんだからね
父:ウー
父が怖い目で娘たちをにらんでいる。
私:まるで野獣だな、こりゃ。まあ本能だからしょうがないけど
私は父に取られまいと自分の皿をたぐり寄せて何もなかったようにご飯を食べる。
長女:あんた、よく食べてられるわね
私:これも本能

そう、恥かきっ子はいつもマイペースなのである。

1 COMMENT

私も恥かきっ子の末っ子

これ、面白い❗
こんな事言ったら不謹慎?
マイペースの恥かきっ子さんのファンになっちゃう。

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