春のうららかさを感じよう

介護のジカン―父親編⑧

母が亡くなってから5年間、私たちの介護のジカンは続いた。父の最期はそれはそれは穏やかな表情だった。享年93歳。大往生である。

葬儀は身内だけで執り行われた。身内といっても総勢30人を超える大人数である。1部では私が携帯に録音しておいた、けものの雄たけびのような父のアリラン〉の歌声を流した。

葬儀の2部は故人を偲んでの大宴会。父は酒は1滴も飲めないが楽しいことが大好きだったので、悲しく送るのではなく明るく送ろうと姉妹で企画したのだった。身内の中にはチャンゴの名手や現役歌手、司会者まで揃っていて、宴会は大いに盛り上がり춤판にまでなる始末。場所がお寺じゃなかったら、道行く人はきっと祝宴と思っただろう。

ショーの次は花札大会。これも父が正月には必ずやっていた儀式である。婿や孫たちに負けると父はムキになって何度も何度も繰り返し勝負していたっけ。父の思い出話に花を咲かせながら私たちの介護のジカンはこうして幕を閉じた。