春のうららかさを感じよう

ハンセン病と朝鮮人ー差別を生き抜いてー

国立ハンセン病資料館

先日、国立ハンセン病資料館と多磨全生園を訪れました。春に訪れた際には、新型コロナの蔓延で閉館されていましたが、今は事前予約制になっていて、申請すれば人数制限はあるものの見学できます。資料館にはハンセン病とハンセン病患者の闘争の歴史が展示されていました。

感染力が弱いにも関わらず、顔面や四肢の変形という外見上の変化だけで、遺伝病という誤った認識が根付いたために、ハンセン病患者とその家族に対する差別は極めて厳しいものでした。

資料館内の展示物

日本全国で療養所への強制入居、強制隔離が行われ、遺伝病ではないということが判明していたにも関わらず、強制的に断種手術や人工中絶なども行われました。

これらのことが記載された法律「らい予防法」は1953年に改定されますが、1943年にプロミンという化学療法剤が作られたのにも関わらず、日本政府は法律によってハンセン病患者に対する差別を続けました。

草津・栗生楽泉園の重監房跡の碑

ハンセン病患者の中には多くの在日朝鮮人もいました。ほとんどが生活のため日本に渡って来た人たちで、強制連行された人たちもいました。療養所は数人が同じ部屋で暮らす共同生活であったため同じ朝鮮人同士でもウリマルで話すことさえ自由にできなかったそうです。

不本意に故郷を離れ、慣れない異国の地でハンセン病にかかり、家族とも切り離されて自分の国の言葉すら自由に話せない。在日朝鮮人の患者たちは二重、三重の差別に苦しんだのです。

ハングルを学ぶ

ハンセン病に限らず、差別のほとんどは無知と無理解から来ると思います。無知や無理解が偏見を生み、助長され差別を激しくするのです。でも地球上で差別をなくすことは難しいかもしれませんね。

でも何も知らず、知ろうともせずに人を排除したり排斥するような人間にはなりたくないと私は強く思います。まずは相手を知る努力をしよう。小さな努力を積み重ねることが、差別のない社会を築いていく大きな一歩になると思います。

いま新宿の高麗博物館で「ハンセン病と朝鮮人」ー差別を生き抜いてーの展示をしています。この展示は国立ハンセン病資料館の協力をいただいて12月27日まで展示しています。東村山市まで行くのはちょっと遠いと思っているあなた、美術館での絵画や美術品の鑑賞も良いですが、時にはこういう鑑賞もどうですか?


企画の展示は現在事前予約制になっていますので、下記の見学予約表から必要事項を記入して見学してみてください。

開館時間 12:00~17:00
休 館 日 月曜・火曜、年末年始
※展示替えのため臨時休館することがあります。
入館料 一般 400円、中・高生 200円