春のうららかさを感じよう

おかしな娘のオモロイ話(4)ー実家

私は3姉妹の次女。2児の母でもある。 3姉妹で結婚しているのは私だけ。

長男の出産を機に地元に戻ってきた。 実家の目と鼻の先に住むことを夫は快く受け入れてくれた。 そのせいといってはなんだけれど、私は実家離れができない。

朝 7 時、カーテンを開けると外は雨。
(うわ! 今日雨降ってるじゃん。 保育園の送りしんどいな~)
私は車の運転免許は持っているけど、 駐車するのに 20回ぐらい 切り返しが必要で とにかくヘタクソ。以前、実家の車庫入れの途中でぶつけた経験もある。 駐車場だって両隣に車が停まっていたら停められないし、 路駐なんてもってのほか。どこに駐車していいのかルールさえも分からない。
車の運転は、できれば一生したくない 苦行。

朝 8 時、母に電話。
私:ねえねえ、今日の予定なぁに?
なに?と聞かずに、なぁに?と語尾を伸ばして機嫌を探る。
母:今日は 13 時から打ち合わせ
私:雨だから保育園まで送ってほしいんだけど
母:アッパに言いな
私:断られるかもしれないから、オンマから言ってみて。
しばらくして受話器の向こう側から、「何時ー?いいよー♪ じゃあ、迎えに行くねー!」とハルベの声が聞 こえてくる。
やったー!!

8 時半、家の玄関口で2人の子供と待機。
ハルベ現る。満面の笑みだ。
ハルベ:おぉ~!おっはよう~!!
長男:ハルベ~! (変顔)
カレン:ハ~べ~!
ハルベ: ハルベと保育園行こうね~♪
雨の中、朝 8 時半に引っ張り出されたのに朝からうれしそう。 孫の力はスゴイ!

「ありがとう~ 。助かったよ~」
ハルベは、そのまま私を私の家まで送って 実家へ帰っていく。

朝の戦いが一段落してホッと一息。
(あ! 今日 12 時から取引先と打ち合わせだった!!
ヤバい! スーツ~!!! )
慌ただしく準備をする。
髪の毛は… ポニーテール? お団子? とりあえず、ヘアゴム!ゴム!!
あれ~?この辺に置いといたゴムが…
自慢じゃないが部屋はいつもスッチャカメッチャカ。
何か物を落としたら最後、探すのに3日はかかる。
(ま、いっか…ヘアゴムは諦めよう)

ビシッとスーツを着て化粧もバッチリ。
今日の化粧は決まってると鏡を見ながら満足。
そこで気がつく。
(しまった。 スーツなんてめったに着ないから、 スーツに合わせる靴とカバンがない!)

目につくのは、マザーズバッグとして使ってるものすごく大きいリュックか、 買い物のお供のミッフィーちゃんのエコバッグ。
スーツに登山並みのリュック? スーツにミッフィー?
二者択一。
いや、ちょっとさすがに…マズい。 これはマズすぎる。

10 時 40 分、母に電話。
母:なに?
私:スーツに合うカバンと靴貸して!10 分後に行く!!
身支度をして家を出発。 スーツにサンダル。 ミッフィーちゃんの、エコバッグ。 そしてヘアゴムは探せなかったから、 カレンの赤ちゃん用を拝借。

ピンポーン
実家の扉を開けると、 全てが玄関先に揃っていた。
いかにもOLって感じのブランドのバックに靴。
母が2階から降りてくる。
私:何このバック! かわいいしスーツに合う!
  えー!この靴どこの?サイズもピッタリじゃん
  さすがオンマ!
とヨイショも忘れない。
私:あ!あとヘアゴムもちょーだい!
母は無言でヘアゴムを取りに2階へ。
失笑レベルで、 ただのムスメである。

ミッフィーちゃんからバックにゴソゴソと中身を入れ換えて…
行ってきまぁす!!
元気に実家を出発。
よしよし。これで間に合う♪

打ち合わが終わって帰る途中で夫から連絡が入る。
夫:今日飲み会になって遅くなるんだけど、いいかな?
私:(うれしそうに)はーい!わかりました! 快諾!!
そして、そのまま母に電話。
私:あ、オンマ? 打ち合わせ終わった? まだ外? 今日の夜ご飯なぁに?

私は当然のように打ち合わせ先から実家へ帰る。 借りたバックと靴を返しに。 実家へ帰ると、既に母も帰宅していた。

母:今日なに食べる?
私:う~ん、実家ごはん美味しいから、迷うなぁ
  自分ではあまり作らない野菜たっぷりの餃子か、はたまたピビンパか。  天ぷらもいいなぁ~
母:しょうが焼きにしようか

しょうが焼き?!それは自分でも作れる!! せっかく実家で食べるのに、それじゃあレア感がない。

母:じゃあピビンパね。子どもたち用に煮物も作っとく

至れり尽くせりすぎて 勘違いしてしまう。
私は、女王様なのだろうか? はたまた母が 家政婦気質なんだろうか?
いやいや、私は출가외인なのだ!確か…

今日は夕食の準備すらない。 夜ご飯のお買い物はないけど、私には買うものがある。 薬局に行かないと。帰宅途中に薬局でお買い物。

17 時半、普通に保育園にお迎えに行けばいいものを、 わざわざ実家に寄る。
ハルベが出迎える。
ハルベ:おぉ!今日うちでごはん食べるんだろ?お迎えは?
私:お迎え今からだよ~♪
ハルベ:おぉ!そうかそうか。それなら車で行こう
私:(ニヤニヤしながら) やったー!♪

車に乗り込む子どもたちは、ハルベを見てルンルン。
長男:ハルベー!ボクねー、今日青いブロックで恐竜作ったの!!」
ハルベ:す、す、すご~い!!! 今日はご褒美だな
わざわざ大袈裟に、反応してくれるハルベ。
数分後、実家に到着。

「ハンモニー!!」 帰宅した子どもたちは、母にもうれしそうに1日の報告をする。 うれしそうに聞く母。
それを見ながら感慨深くなる私。 これぞ親孝行なり!

夕食まで時間がある。
ハルベ:ハルベとお風呂に入る人~??
長男:…ボク、オンマと入る
ハルベとのお風呂を嫌がる息子を見ながら若干歯がゆくなる。ここは素直にハルベと入ってほしいのに~~。
朝から再三、車を出してもらった罪悪感と申し訳なさが混同する。

しかし、こうなることを 私は見越していた。
私:ハルベとお風呂に入ったら、こんなものあるぞ~♪
私はあるものを取り出した。 入浴剤だ。しかも湯船に入れると中からマスコットが出てくるタイプ。 子どもたちはこの入浴剤が大好き。

子供たち:はーい!はい!!
長男:ボクのだよ。カレン、ボクの!
入浴剤の奪い合いが始まった。
私:ダーメ。これをできる人は、ハルベとお風呂に入る人だけ!

言い終わらないうちに、子どもたちは 走ってお風呂場へ行き服を脱ぐ。
長男:ハルベー! 早くおいでー! 一緒にお風呂入ろう!!
カレンはハルベに向かって、いつもの手招きで<おいでおいで>。
薬局へ買いに行った自分を 心から褒めよう。

ハルベと子どもたちは楽しそうにお風呂に入っている。 母は忙しそうに夕食を作っている。 私はといえばテーブルでボーッとしながらカフェオレを飲みポテチを食べている。

ニヤニヤは止まらない。
実家っていいな~~。
美味しすぎるピビンパを食べながら、 一層思う。

長男:ハンモニー!またねー!
カレン:バイバーイ!
車の窓越しに子ども達が手を降る。 ハンドルを握るハルベは目を細めて笑っている。 私たちを車で送るためだけに、 今日は大好きなビールもお預け。
改めて言っておくが、実家からうちまで歩いて5分もかからない。

「またいつでもおいでね。」
このハンモニの言葉を社交辞令と思わず 本気でとらえてしまうから ムスメは恐ろしい。

子どもたちを寝かしつけて自分の時間に入る。そこへ 母からラインが。
母:「財布忘れてるよ」
私:「うそ!明日の朝取りに行きます」
そう返信して眠りにつく。
翌朝、財布を取りに行きがてら朝ごはんに残りのピビンパをペロリとたいらげた。

2 COMMENTS

尽くす女

まるで我が家の日常?と思ってしまい読んでいて笑ってしまいました😅因みに娘は私を「尽くす女」と言って持ち上げ週3.4で我が家に、来ます。疲れるけど、会わないとまた会いたくなる孫の魔法を掛けられてるハルベ&ハンメです💦

家族愛

ユーモアたっぷりの文章。
一人でクスクス笑いながら読んだ。
実家に頼り過ぎるのもどうかと思う反面、家族で助け合いながら暮らす。こう言うのも全然アリだなと思った。ひとつの家族愛の在り方だなと思ったよ。
おかしな娘さん、頑張って。

現在コメントは受け付けておりません。