同窓会の準備を始めよう

지영이는 보았다(第3弾)その13

チヨンの担当上司が大失態を演じたのと時を同じくして、同じ中国の大連のあるオフィスでは歓声があがっていた。昨年김재광が送ったコピースマホが行き着いた先が、実はこのオフィスだった。そこは北の出先機関だが表向きは旅行社だった。

スマホの保存データを漏らさず解析し、アドレスに載った名前の主を事細かに追跡調査した結果、ようやくある事を掴んだ。アドレスは宝の山だっだのだ。時間と労力を要したが、韓国側が東京で展開配置している工作員の相関図が浮かび上がったのだ。それも一つの端末に依って!

出先機関の責任者はもちろん北にそれを報告したし、韓国人スパイのスマホを見事コピーして送り届けた仕事を高く評価する。 そして〈우리 위업 앞에 쌓은 숨은 공적을 조국과 인민은 언제나 기억할것이다〉と言う 暗号文面のエアメールを送信した。受け取った재광はそれを読みながら(何のこっちゃ!?ご褒美はないのね)と首を傾げていたが。

あの男(강홍)にもそのエアメールは届いた。情報価値が高いから他のことはこねくり回すなとの追伸付きだ。こちらが相関図を得たことが知れると相手は全てを改め、新たな工作網を構築してしまうのは男にも理解できるが、その心境は複雑だ。ここで停まっては功績を재광と二分するだけなので我慢できない。この男もまた功名心旺盛な現場要員に他ならなかった。

彼は監視ソフトの仕込みから始まった一連の出来事を思い浮かべ、自分なりに幕引きをしようと思った。박지영ひとりをスパイゲームから葬る事で、自分の不満をなだめるつもりだ。さてどうしたものか…

年末年始も、そして今も김とハナは連絡を取り合っていた。お互い大人だからあの晩の話はしない。김は盗聴されても構わないような話題にハナを誘導するのに四苦八苦だが。ハナは監視ソフトの起動も継続しているし、当然김の逆利用も続く。

久々に김のもう一つのスマホにメッセージがきた。例の手順で解読して、指令を読んだ김は仰天した。

〈ハナー박지영에 대한 롱락을 지금 즉시 멈춰라〉

普通なら指令は一方通行だが、김は〈그럼 박지영은?〉と初めて質問メッセージを返した。しばらくして〈신경 꺼!〉とだけ知らせてきた。김はイヤな予感がする。

想像力をフル回転させメッセージの隠れた意味を紐解こうと集中する。チヨンに危険が及ぶなら何とか助けてあげたい……

          続く