修学旅行の初日の夜は京都での一泊だった。我が3年12班も(こればかりは)男女別々のホテルに宿泊した。夕方、見学を終えてホテルに戻ったM道とGチ、哲夫とY男の4人はシャワーを浴びて夜の京都に繰り出した。
お土産屋さんが並ぶ新京極商店街を歩いていると、既に赤い顔をしている同級生と何人もすれ違った。
「おー、みんな早い時間からやってるなぁ。俺たちもどこか入ろうか?」とM道が言うと「そうだな、やっぱり関西に来たからお好み焼きで一杯クーッと」とGチ。サッカー部のY男は結構な酒好きでもう喉を鳴らしている。
「おいGチ、組織部長がそんな事言ったらダメだろ?」と、真面目で一途な哲夫が言った。「何かたい事言ってんだよ、修学旅行の初日の夜だぜ。それも古都京都の夜…何か起こるかもしれないよ ❤」とM道。
「バ〜カ、なに夢みたいな事言ってるんだよ。さっさとお好み焼き屋探してビール飲もうぜ!」とGチ。哲夫は(しょうがないか)と諦め顔で歩き出した。
商店街を暫く歩くと「お好み焼き」の看板が見えた。「あ、あった!あそこに入ろうか?」とGチが先頭で暖簾をくぐった。お好み焼き独特の、ソースが焦げた匂いが立ち込める店内は人で、いや朝高生で一杯だった。
ポツポツと女子の姿も見える。「あ、Gチ〜!」と呼ぶ声がする。NMとC子、◯スン、Y子が奥のテーブルから呼んでいた。「このテーブルを並べたら座れるよ。一緒に食べよう」と鉄板が無いテーブルを並べて座れるスペースを作った。
席に着いた4人は早速「おねぇさ〜ん、ビール4本ね〜」と待望のビールを注文した。「あー、いけないんだ〜!高校生なのに〜」「うるせぇよ!ビールは清涼飲料なんだよ!」とGチ。
ビールが運ばれて来た。「Gチ、あんた組織部長でしょう?」と◯スンが追い打ちをかける。「ゴメン、今日だけ許して!」とM道が手を合わせる。既にY男はグラスに注いでいる。
各々がグラスを手に取り金色の液体を注ぎ合う。
「じゃあチョも頂戴」
「えっ◯スン、あんたも飲むの?」
「修学旅行の京都の夜じゃない」
「それもそうね 💗」
「そうだそうだ、楽しもうぜ!」
「축배〜!」
京都の空の下で飲むビールは格別だった。隣のテーブルで食べてた5班のCスが「12班は仲良いな〜、俺も12班行きたかったよ」と羨ましがった。
「何言ってんだよ、そんな事ねぇよ。」
8人は何となく優越感を感じていた。「お姉さ〜ん、ビール3本ね〜!あとお好み焼き三枚ね〜」
「お好みは何をしはります?ミックスでよろしいですか?」と若い女子スタッフが京都弁で聞いて来た。「うわー、京都弁だよ。地元感満載だなぁ」とM道が言った。「何処から来はりましたん?何処の朝高ですか?」
「えーっ!」一同固まった。
NMが「何で朝高だと…朝高知ってるんですか?」「はい、オッパ、オンニ達の会話を聞いたらチョソンサランだと分かりましたんで…」「オッパ、オンニ?」
「はい、私は京都朝高の2年生です。ここはうちのコモニンがやったはるお店なんです。ウチはバイトで…」ボニーテールの頭にクリッとした目に小顔の娘が伏し目がちに言った。
(ウリトンポ… 💦 ヤベェ)(京都に来てまでトンポの店に来るか〜) 💦
「あの〜…東京なんですけど…」すると調理場の奥から「東京から来はったんや。でも、ビールはこれで辞めときや。これはアジュモニの奢りや。心配しんとき!ソンセンニンには内緒にしとくさかいに…ヨンミ、何してんねん。早よ運ばなあかんやろ。」ホッとした一同は知らずに立ち上がり「고맙습니다!」と一礼をしてた。
横を見ると朝高生全員がお辞儀をしていた。ヨンミと呼ばれた娘は照れながら一礼して注文品を運び始めた。
…
「いや〜びっくりしたな〜まさかトンポの店とは思わなかったよ」「本当ね、あのアジュモニもさっぱりしてて感じ良かったし…」「あの娘可愛かったな〜…」とM道。
そのM道をNMはジッと見ていた。
「酔い覚ましにちょっと散歩して行こうか?」Gチが歩き出した。
商店街を抜けるとすぐ前を川が流れていた。
空には星が輝いている。
京都に行って、知らないでトンポのお店に行っちゃったんですか?💦
しかし、在日はどこにいても瞬時にコミュニケーションが通じるってところがすごいよね
で、そのヨンミトンムにはちょっかい出さなかったんですか?
そう言えば、28にも京都出身の嫁さんもらってる奴いるよね~👀