チヨンの何の変てつもない日々が過ぎていった。だが彼女の妄想は、あの日以来別なモノと変わった。そう、「楽しかったあの日よ、再び」と願うようになったのだ。
週明けの朝、ユミから連絡がありLINEを開通させたと同時に写真が送ってきた。ママがこっそり撮ったあの日の楽しげな談笑場面の写真だった。김だけ後向きなのがちょっと残念。
ユミはもう一つの贈り物をくれた。LINE上に김の携帯番号が記され「그날 우리 몫을 계산해준게 김씨란다.」と書かれていた。なので新たな再会はいつでも実現可能なのだ。ユミがお礼の電話をしたと言うので、チヨンはその番号を保存だけした……
資料読みのある日、チヨンはある写真に目が止まる。雑誌〈이어〉のある写真に김の姿を認めたからだ。その説明記事には〈南東北の同胞の集い〉と書かれている。
(김아저씨는 멀리에 사네. 조총련계가 맞구만. 만날 기회가 아주 멀다.)
そう思うと、残念な気分になるが何故かは分からない。あの日、笑わせてくれおごってくれ、タバコの煙のように消えていったおっさんのスマートさが、非日常感として脳をむしばみ始めたのを彼女は気づいていない。
写真の中の김を見てるチヨンの頭の中にある企てがひらめいた。巷に出回ってるスマホのスパイアプリの事だ。情報部のそれは、より精巧で相手には絶対分からない。スマホの電源が入ってる限り、蓄積された写真やデータを覗けるし、通話の盗聴やナウ映像も見られるのだ。
難点は起動中バッテリーを普通に消費してしまうこと。それを使う資格やランクはチヨンにはまだない。が、バレない技量と好奇心が彼女を煽る。
机上のパソコンで김のスマホにそれを埋め込みながら、チヨンは得意満面だった。業務でも命令でもなく、チヨンだけの人知れない監視遊び。そう、彼女はこの瞬間から김に対するウォッチャーになるのだ!
そして、昼休みに誰もいなくなったのを確認して起動のボタンに指を置く。ドックンドックンと鼓動が激しくなる……
続く
新しい進展がしそうな予感…
もしかしてチヨンさん、金さんに❤️?(^^)
それにしてもキンさん、スマートだね、俺も見習いたい。
そんなスパイアプリがあるの?
俺も欲しい。笑