春のうららかさを感じよう

지영이는 보았다 その8

パソコンの画面には、ある部屋の中が映し出された。その時、肩をとんとんと叩かれギョッとして振り返る。

上司が「점심 안먹고 뭘 하니? 유튜브 동영상 보는구나. 하하핫, 아저씨가 춤추고 있네. 설마 지영양은 아저씨 취향?」と言いながらその場を離れていった。

画面には変な角度だが김が踊ってる姿が映っていた。冷や汗モノだったがおっさんが踊ってる映像だったのが幸いしたようだ。上司におじさん趣味と思われたのは心外だが、おかげでYouTube動画だと思ってくれて、チヨンの秘事はバレなかった。

そうだ、音を忘れていた。イヤホンを刺してボリュームを上げると、画面の室内にはMy girlと繰り返す洋楽メロディーが流れていた。音楽に合わせてステップしスムーズに一回転するおっさん김성남。踊る意味が分からないが長く見てるのもマズいのでチヨンは画面を消した。

職場での覗き見はリスクが高いからと、自分のスマホにその機能を移植して一安心。でも鳴っていた音楽が気になりスマホのグーグルにマイガールと囁いた。ちょっと手こずったが1965年にリリースされたテンプテーションズの歌が耳の記憶と一致した。そしてまた頭のメモが始まる。

(가게에서 만난 조총련계, 괴상망측한 말투에 이북의 군사파레이드시늉, 시골에 살고 아무도 없는 방에서 옛날 흑인음악에 스탶 밟는다.)

オモロイおっさんなのは確かだが、今の時点で何の脈略も探せないとチヨンは認めた。でもリズム感はあったし踊りもサマになっていたので、思わず笑みがこぼれた。

スマホによる、誰も知らない誰にも言えないウォッチングは、彼女の初めてのイケない趣味になりそうだ。それがもたらす色んな危険について、この時チヨンは想像すら出来ない。

その日の仕事を終え帰路についたチヨンは、ある歌を口ずさんでいた。♪マイ ガール、マイ ガール♫と。その足どりは軽快だった……

          続く

2 COMMENTS

マフラー忘れた

う〜ん、チヨンばヤバイ世界に踏み込んで行くのかな?
いよいよ目が離せなくなって来ましたね。
続編が楽しみだ!(^^)

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