春のうららかさを感じよう

【スマホ小説】ボス 29

4人の楽しい宴は続いた。笑いが絶えない中で不意にスジンがハヌルに言った。「ハヌルさんはどうして来たんですか?マネージャーも連れずに…」

瞬間。ハヌルの顔から笑みが消えた。場が凍りついたようになった。ホソンが慌ててこづいた。スジンはハッとして「イヤ、良いんですよ。何でもないですから…ハハハ…」と取り繕ったが、重苦しい空気は消えなかった。

ハヌルは持ってたグラスを置くと「フー」と息を吐いて3人を見回してゆっくり話し出した。「ちょっと向こうでイヤな事があって…ほら、芸能界って色々あるでしょ?今まで何回も経験したけど、今回もね…何か自分が虚しく感じちゃって…でも大丈夫。私こう見えて強いのよ」と言った。

スジンは「죄송합니다. 変な意味ではなくて…」と言うとハヌルは笑みを浮かべて「아뇨 괜찮아요. いずれはバレるから…」と言った。

その時、ホソンの携帯が鳴った。「はい!」と言うと顔色が変わった。通話口を手で抑えて「チさん」と言うとまた通話を続けた。「いえ、はい。わかりました」と言うと電話を切った。

「マネージャーのチさん。いま成田に着いたらしい。ハヌルさんがここにいる事バレてるみたい」とホソンが言うとハヌルは驚きもせず「あの子は昔から勘が鋭いのよね。言った尻から…もうバレちゃいましたね」と笑みをこぼした。

「ここに向かうから何処にも行かないで待ってて…と言ってたよ。どうする?」とハヌルに話しかけた。ハヌルは「あまり大袈裟に騒いだら皆さんに迷惑をかけるから…私一人で待ってます」と言うと「ボス氏もう一杯貰えますか?」と空いたグラスを差し出した。

ボスは何も言わずジントニックを作った。そして「スジン、ホソン。もう良いよ。後は俺がするから今日は帰れよ。明日また電話するよ」と言った。スジンとホソンは暫く考えて「わかったよ。じゃあ帰るわ。明日電話するよ」と言って「ハヌルさん元気出してね」と言ってガッツポーズをした。ハヌルはニコリと笑って同じポーズを取ると2人は安心したように帰って行った。

2人きりになった店内は急に静かになり、ジャズのBGMだけが流れる。ボスはハヌルの隣に座ったものの、何を話せば良いのか、言葉が見つからない…気まずい沈黙を破るようにハヌルが口を開けた。

「あんな強がり言ったけど、本当はねイヤになったの…だから…逃げて来ちゃった」と言うと笑おうとした…が顔が崩れる。大きな瞳一杯に涙を溜めてボスを見つめた。そして「私…そんなに強くないから…」と言う声は震えている…涙が一雫溢れ落ちたと同時にボロボロと大粒の涙が溢れて来た。

今まで誰の前でも決して涙を見せなかったハヌルだったが、ボスを前に初めて自分の弱さを、正直な感情を吐き出したのだった。

ボスは胸が締め付けられる様な気持ちでハヌルを見つめた。そして自然に彼女を抱きしめた。ハヌルは堰を切った様に大声で泣き出した。いかにも待っていた様に…

続く

1 COMMENT

チ チ チ

思ってたような展開になっちゃった~👀
ボスも、まんざらでもない雰囲気だったから~スジンとホソンを先に帰して~
二人っきりに😘
しかし、男の前で大泣きされるって~ 演技じゃなければ~ マジ本気💦
はいっ~ ボスの負け~🤦‍♂️
私なら、すぐに店のカギを内側から閉めて… 後は言えない💦
んで? んで? チが邪魔に入るわけ?

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