【思い出】下町のさびれた床屋

２０才の頃、下町で親が床屋を営んでいる先輩に「たまにはウチに髪を切りにおいでよ～安くしてあげるから～」とのお誘いを受けて、折りを見て髪を切りに出かけた。教えてもらった場所は、駅から随分と歩き、昔ながらの平屋が続くような雰囲気の街に、ポツンと床屋の看板だけが見えた💈

「年季を感じる床屋だなぁ～」と思いつつ、サビついた重いドアを開けて店内に入ると、先輩はおらず、７０過ぎの理容師が一人で客をこなしている。その仕事ぶりをちらっと見ると、腰がやや曲がって、手元がおぼつかない様子✂💦　手前の汚い座布団が敷いてある待合の横には、小学生低学年とおぼしき少年が、熱心に少年ジャンプを読んで順番を待っていた。

仕方なく狭く汚い座布団に座り、私も順番を待った。しばらくして、髪を切り終えた先客が帰ると、簡単に履き掃除をして、散髪のケープをぱたぱたと叩きながら～「つぎ～、ボクどうぞ～」と少年を椅子に案内したが、少年は少年ジャンプを離さずに読みながら、よたよたと歩き椅子に座った。近所の常連の子供のようで、いつものように漫画を読みながら髪を切ってもらうのかな～と、私もくたびれた数か月前の週刊誌を手に取り、古い記事を読むでもなく、グラビア写真などをパラパラめくっていた。

すると、バリカンの電動の音が聞こえてきた瞬間、子供の驚いた大声が店内に響いた～「ちがうの～ちがうの～、　えええ～　ちがうの〜💦」と。私はあわてて立ち上がりその光景をのぞくと、バリカンは前頭部から頭のてっぺんに向けて、髪を綺麗にそり上げていた。

ついに子供は泣きだして、「ぼく～ボーズはやだよ～💦」と。すると、老理容師は「ここまでバリカン入れたから、もうボーズにするしかないよ～ボク！」と慰めている。

状況からすると、子どもはスソをカリあげて、長さをそろえたい注文なのに、マンガに夢中でそれを伝えず、老理容師は子供だからボーズ頭と決めつけて、バリカンでど真ん中からカリあげたと。子供の泣きじゃくる声が店内に響き、バリカンの音は元気に店内に響き、ついには子供が鼻をすすり泣く音まで響いてきた。

その状況を見ながら私は怖くなって、そぉ～っと立ち上がり、汚く重いドアを押し開けて、気づかれないように店外に逃げ出し、駅までダッシュで走った😱こわぁぁぁ～💦

髪はよく知っている理容師に相談しながら切りたいものですね～💕　その後あの子はどうしたんだろう？性格がひねくれてヤンキーになったか？そのままボーズになって出家してしまっていないか👨🏽‍🦲～　少し心配です～😂