人事異動が近々あるはずだと思いきや、何の音沙汰もないまま数日が過ぎた。(그땐 선배님의 이야기를 듣기만 했지. 공작활동하겠다고 바로 말씀 못드린게 잘못일가?)と 反省したり(자격을 충족 못했을지?) と訝しんだり何か落ち着かない。お酒でも呑みたい気分だが、가게のママから遊びに来いとの連絡もない。
工作員になるかもと勝手に盛り上がったテンションは 、一朝一夕には冷めない分、毎日の仕事に身が入らないチヨン。ところが、彼女が知らないところでは物事が目まぐるしく動いていた。
チヨンの家に泊まってさよならしたユミは、ただ帰った訳ではなかった。彼女は(허니ㅡ트랩의 지름길을 지영이는 이해했을테지)との認識で、スパイデビューの地ならしに奔走したし、その後は然るべき上層部にチヨン採用の件を計っていたのだ。上層部はチヨンの身体検査は勿論、その仕事ぶりやプライベートの評価も細かく積みあげていた。
もうすぐ新たな任務がチヨンに下る。
ソワソワと待つ身のせいか、チヨンの(日課的に監視訓練を兼ねて継続している)覗き見は疎かになりがち。今は帰宅した夜に度々起動させたりする。
김は仕事が終わって深夜帰宅した後、家ではスマホを全くと言っていいほどいじらない。多分居間のどこかに置きっばなしだ。映るのは天井の静止画ばかり。たまに奥さんとの会話が聞こえるが、普通に夫婦仲は良いようだ。でも何かイライラする。
特に김の日常に変化はないようだと勝手に判断する。変わった事と言えばストレス解消?ダンスに新しいバージョンが現れた事くらい。古い韓国民謡の曲調からして古典農楽の踊りみたいだった。素人目にも下手なので全然笑えない!
でも頭の中では「아저씨가 나의 진짜 공작대상이였으면 재밌겠다. 아니다. 아니지. 아저씬 훈련노리개일뿐이지. 」と 誤字修正のような所作を繰り返してしまう。
でも、チヨンには見えていないモノ、いや絶対に見えないモノがある。김のスマホの裏蓋の内側に無作為に並んだ数字や記号の羅列が記された紙が貼ってあるのをチヨンは知りようがない。
それは、何かの暗号だ。そして覗き見を疎かにしている間にスマホの向こう側では、とんでもない事が動きだそうとしている。静かに、着実に……
続く
スマホの盗聴、謎の暗号、新たな任務、本格的なスパイ小説になって来たな。この後の展開が楽しみですがまさか韓国映画の「シュリ」のような悲しい展開にはなりませんよね?
ま、それもありか。
今週の一週間じっくりと読ませて頂きます。