지영이는 보았다（第2弾）その11

その晩、男によって抜き取られたハナのスマホは完コピされた。その男とは東北の김にメッセージで指令を出している張本人でもある。男の出自は中国朝鮮族で現在は上野の가게 〈パスポート〉で店長をしているが、実のところその正体は不明だ。

情報分析官チヨンの가게아가씨への転身から、男はオンナが工作員になったなと判断したし、在日と北の裏の繋がりを探るのがその狙いだろうと推測した。オンナのスマホをコピーした事で答えは直に出るはずだ！

必要なツールは揃ったしすでに男の指令の下、エージェントたちは動き出している。男はこの時になってようやく作戦名を決めた、そのあとに東北の김に新たなメッセージを送信した。

4.5/8 4.1/1 1.11 7.10…
롱. 락. 개. 시…

手順にそって解読した4文字を김が睨むのはやっぱり老眼のせいだ。解読を続けながら彼は絶句してしまう。秘匿作戦名が〈ローラ作戦〉となっていたから。（誰だか知らねえが陳腐なダジャレかい。ボキャブラが乏し過ぎる)とブツブツ。でも自分がやるべき事はこれで明確になった。

女の名は박지영！

チヨンに対する彼の任務とは、彼女と親密になる、その一点だけだ。仕掛けられている監視ソフトの逆利用で、彼女のこちらに対する感心が、ある種の情になってるのが김には分かる。それとも単なる何とか依存症の類いかな？

一般的にどんな工作任務も、その孤独で危険な活動で当事者は、大変なストレス下におかれるのが常だ。(チヨンもその渦中で苦しむ女性スパイってことだな、きっと…。でもカッコイイかも。)とスパイ映画好きの自らのウンチクで得意気の김。

指令の文面から(チヨンの癒やしの人となれ。他のことは知ることなかれ)なのね、と理解した彼は(容易くないけど、これが任務とは…俺にはツキがあるなぁ。東京に来いとの指令が早く来ないかな～)と鼻の下を伸ばしてるから始末に負えない。

またスマホが起動された。こちらを見ながら彼女は喋っている。「보고싶다」と言っていた。

김は心の中で(나도…)と答えた。そして、覗き見が終わったのを確認すると김はおもむろに立ち上がって、渾身の力でガッツポーズをした。何回も……

　　　　　　　　　　続く