春のうららかさを感じよう

【スマホ小説】ボス 50

薄暗い店内は韓国のスター金ハヌルの来店で一気に華やかになった。金ハヌル、マネージャーのチミョンオク、プサングループのプサンホ会長、映画館社長のホソンそしてスジンと多彩な顔ぶれが揃った。試写会の主催者であるホソンが乾杯の音頭を取って宴は始まった。

やはり話題はハヌルのバッシングの話だ。どんな風にされたのかハヌルは面白おかしく話した。皆笑いながら話をしてる最中もハヌルはボスを見てる。

相変わらずボスは酒の準備、料理と忙しく働く。そんな時スジンがハヌルに聞いた。「ハヌルさん。さっきから気になってるんだけど…この方は?」とサンホを見てハヌルに聞いた。

「あっ、ご紹介が送れました。私がデビューした時から可愛がってくれてるプサングループの会長プサンホさんです。アボジ」とサンホを見た。サンホは「初めてお目にかかります。プサンホです。よろしく…」と言うと軽く頭を下げた。びっくりしたのはホソンとスジンだった。

「プ…プサングループのか…会長?」二人は慌てて立ち上がり挨拶をした。「ハハハハハ」その格好が可笑しくてハヌルもチさんも腹を抱えて笑った。そしてボスを見たが、ボスは下を向いて料理をしている。

ハヌルは「ボス氏、料理はその位にして一緒に話しましょうよ」と声をかけた。ボスはチラリとハヌルを見たが無言で仕事を続ける。ハヌルは何となく拍子抜けしたが、笑顔でボスの顔をジッと見た。それを気付かないフリをしてハヌルの前から移動した、極力ハヌルを見ない様にして。

あからさまなボスの態度にハヌルの顔が曇った。(何?あの態度…私を無視してるの?)ハヌルの心はざわついた。(昨日の試写会にも来なかったし…思えば日本に来て話もしてないじゃない。なのに何なのあの態度…あったま来た!)
その二人の行動をサンホは悲しい思いで見つめていた。(ボス君、すまない…君は…)

ハヌルは目の前のジントニックを一気に飲み干して目の前に置いてあるバーボンのボトルを握った。そしてついさっき飲み干したジントニックのグラスにドボドボと注いだ。並々と注がれたバーボンを事もあろうに一気に飲んだのだった。そしてまた並々と注ぐ。

最初は誰も気付かなかったが、ボスが見つけた。そして「ハヌルさん、ダメだ」とボトルを取り上げようとした。ハヌルは取られまいと被りを振った。周りはビックリした。

「どうしたの?ヒャン、そんなに飲んだらダメだよ」とチは言うと彼女もボトルを取り上げようとした。辛うじてボトルを取り上げたボスは手の届かないカウンターの棚に置いてハヌルの前に水を置いた。そしてまた元の位置へ戻ってしまった。ハヌルの我慢も限界に達した。

酔いも重なって思いの丈をボスにぶつけた。「야 ボス씨 진짜 왜이래」 と言うと大きな瞳に一杯の涙を溜めた。ボスは胸が掻きむしられる様だったが、務めて無表情を装った。

「ボス씨 아니 ボス오빠… 오빠란 의미알지? 그래 내가 오빠를 사랑해. 왜?안되니? 」と大粒の涙を流しながら告白をした。皆、呆気にとられる中サンホは、ハヌルとボスに申し訳ない気持ちでいっぱいだった。マネージャーのチが多少慌てながら間に入って取り成した。

「ヒャン、どうしたの?あなたらしくないよ。今日は飲み過ぎよ。帰ろ?ね?」とあやす様に言った。ボスはハヌルの前まで来ると「何をそんなに怒ってるのか知りませんが、私はあなたを好きになった事もないし、そう言った事もありません。勘違いしてるんじゃないですか?今日はお引き取り下さい。そして…もう…電話もしないで下さい」と言うとプイとソッポを向いて勝手口から出て行ってしまった。

泣きながらボスの言葉を聞いたハヌルは震える声で「わかったわ…もう連絡しないから…」と言うとふらつく足で店を出て行った。チとサンホが支えながら車に乗り込む。ホソンとスジンは勝手口でうずくまるボスに近づいた。

不意にボスが振り向き「スジン、タバコ一本くれないか?」と言った。「良いけど、ボスたばこやめたんじゃ…」とホソンが言うとスジンはホソンを見て首を振って、黙ってボスにタバコを渡した。タバコに火をつけると一息大きく煙を吐いた。

タバコを持つ指が震えている。そして二人を見て「どうだった?俺の悪役ぶりは…」と言うと不自然に笑おうとするが、くちびるを震わせてそれ以上言葉を続けられなかった。2人はその時初めてボスの気持ちを解ったのだった。

続く

1 COMMENT

泣かせたなぁ~

あ~ あ やっちゃた~💦 ボス💦
ハヌルも可哀そう~😢
でも、私の経験を言わせていただければ、こう言う態度を取られると、余計に燃え上がっちゃうんですよね~女性は👍 私も大変でしたよ~演技するの🤔 えっ、どうでも良いって?💦
んで? んで? それからハヌルはどうした? また文春砲?💦

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