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【健康】交通事故の2倍の死亡者!? ヒートショック

寒くなると、温かいお風呂が恋しくなるもの。でも一歩間違えると、冬の浴室は極めて危険な空間にもなります。その理由は急激な温度変化で引き起こされる「ヒートショック」。

ヒートショックによる年間の死亡者数は交通事故の死亡者数を大幅に上回っており、決して他人事ではありません。今日はヒートショックについて考えてみました。

ヒートショックは決して他人事じゃない!

ヒートショックは、急激な温度変化で血圧が上昇し、心臓や血管の疾患などを引き起こすこと。最も発生しやすい場所は冬の脱衣所や浴室などです。

厚生労働省の報告によると2020年の交通事故での死亡者数は2,199人。対して「家及び居住施設の浴槽における死亡者数」は4,724人と、交通事故の2倍以上の数を記録しています。

入浴中の死亡者数は10年前と比べると増加傾向にあり、その大半が高齢者。交通事故は法の整備やメーカーの企業努力などで大幅に減少しましたが、入浴中のアクシデントについては家庭での対策が重要なポイントとなってきます。「わが家は大丈夫」と油断しないことが大切です。

サウナで「ととのう」のは大丈夫?

ヒートショックは急激な温度差による血圧の変動によって起こり、その多くは浴室で発生します。まず、暖かい部屋から寒い脱衣所に移動し衣服を脱ぐと、血圧が上昇します。さらに寒い浴室に移動すると、血圧は再度上昇、そこから熱い湯船に浸かると今度は血圧が低下。この過程で血管に負荷がかかり、心筋梗塞や脳梗塞などの病気を引き起こすのです。

ヒートショックを起こしやすい人の特徴として、65歳以上の高齢者が多くを占めています。年齢を重ねると動脈硬化が進み、より血管に負荷がかかりやすくなるためです。また、肥満や高血圧、糖尿病などの生活習慣病をお持ちの方、喫煙量や飲酒量が多い方なども同様に、動脈硬化が進みやすいためヒートショックのリスクが上がります。

最近では浴室における血圧の急降下によるリスクも注目されています。例えば、長時間湯船に浸かると出るときに立ち眩みがするときがありますよね。これは血圧の急降下によって起こる症状で、血圧の乱高下という意味ではヒートショックと同じ原理。

ひどい場合は目の前が真っ暗になり足元がふらついて、大きなケガをする可能性も。年齢を問わず特に低血圧の方に起こりやすいので、若い方でも注意が必要です。

血圧の急変動と聞くと、ここ数年人気のある「サウナでととのう」行為もヒートショックと似たメカニズムのように思います。実際のところ、サウナと水風呂を急速に行き来するのはヒートショックを誘発しかねない行為。強力な温冷交代浴なので、アスリート向けの疲労回復や筋肉痛予防などには効果を期待できますが、一般の40代以上の方は十分に注意が必要です。

若い方でも急激な血圧の上下変動で心臓に強い負荷がかかり、不整脈を起こすリスクがあります。サウナの後の水風呂は、手や足などに水をかけて体を慣らしてから入ることをおすすめします。

ヒートショックの予防法

こうしたお風呂で起こり得るさまざまなリスクは、日々のちょっとした心がけで予防することが可能だそうです。ヒートショックの予防法を忘れないでおきましょう。

脱衣所と浴室を温める

暖かい部屋との温度差を軽減するために脱衣所と浴室を温めましょう。ただし、脱衣所はタオルや衣類などの可燃物が多いので、ストーブなどを置くと火災の原因になります。直接の熱源になりづらいパネルファンヒーターや、赤外線が出るような温かい電球など天井に取り付けるタイプの脱衣所暖房がおすすめです。

最近では後付けで手軽に設置できる暖房器具も多く出ています。簡単に浴室を温めるにはフタをせずに湯船にお湯を張ること。あるいは、入る前に浴室内にシャワーを2、3分かけると湯気が立ち上がり、手軽に温めることができます。

入浴前と後の水分補給を習慣に

心筋梗塞や脳梗塞などは、血液の粘り気が強くなると発生しやすくなります。入浴前にはコップ1~2杯の水を飲んで血液をサラサラにした状態にしましょう。また、入浴中は想像以上に汗をかきます。入浴後の水分補給もしっかりと。

かけ湯は念入りに。手桶で10杯程度

湯船に入る前に、心臓から遠い手足からたっぷりとかけ湯をします。目安は手桶で10杯くらい、ザバザバと念入りに行いましょう。そして、湯船に入るときと出るときはゆっくりと。普段から血圧が低めの方は出るときに立ち眩みが起きやすいので、湯船に浸かったまま少量の水を手や顔などにあてると血圧が安定します。

高齢者の入浴は家族の見守りを

ヒートショックの恐ろしいところは、静かに意識がなくなっていくこと。同居している家族も気づかずに浴室で命を落とす危険性もあるため、特に高齢の方が入浴する際は家族の見守りが必要です。入浴時にひと声かけてもらう、入浴が長いと思ったら様子を見るなど、家族で連携して入浴時の安全を守りましょう

もし、家族の誰かがヒートショックを起こしてしまったら…

万が一、同居している誰かが浴室でぐったりしているのを見つけて、それが浴槽の中だった場合、まずは浴槽の栓を抜くことが最優先。お湯を抜いて鼻と口が水に浸からない状態にさえすれば、少なくとも溺死は防げます。

その後は救急車を呼び、可能であれば体を横向きの状態にして気道を確保します。できる範囲で応急処置を行い、救急隊員の到着を待ちましょう。

ヒートショックは命を脅かす恐ろしいアクシデントだからこそ、日々の心がけと正しい対処法を知っておくことが大切。また、動脈硬化が大きな原因のひとつであるため、適度な運動やバランスの取れた食事、規則正しい生活リズムなど、普段の生活習慣を整えることが何よりの予防策になりそうです。

本来入浴は健康を促進し、心のリラックスにもつながるもの。正しい入浴方法で、冬のお風呂で得られる癒しをたっぷり享受しましょう。

2 COMMENTS

一人暮らしは怖いね

気を付けないと💦 
浴槽の中で亡くなって、数日後に見つかったと言う、悲惨な話も聞いたことある😢
脱衣所までや風呂の中まで温めることは、出来ないけど、注意しながら浴槽に入ってる👀
寒い日に、浴槽につかって、「ぷっぱぁぁ~しあわせ~」と長湯して、立った時にめまいを起こすこともある😞 ほんとに気を付けないきゃ~💦

気を付けようヒートショック

急に寒くなりましたね。ヒートショックは他人事ではないですよね。私も年老いたアボジオモニがまだ健在だから、注意しないとね。
いつも、貴重な情報ありがとうございます(__)

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