ジンスーMy love ⑧

1月10日を過ぎた頃、正月気分も抜け普段の日常に戻った。ジンスも年賀の挨拶を一通り済ませ、人伝えに新たな営業先を探していた。1件受注すると利益は大きいが、簡単にはいかない。遊技業者の改装計画をいち早くつかむため、アンテナを巡らす作業を怠らない。情報収集の合間に현주に電話をかけたりもした。でも殆どつながらない。「미안, 수업중」とか「 소조지도やから終わったら連絡する」とショートメールが届く。彼女が連絡する時間帯は接待絡みのアフターなので、こちらも中々電話を取れない。

お互い家庭持ちで休日に電話する事もできず、しばらく声を聞いていない。分かりきった現実だが、ジンスはちょっと寂しい。彼は手紙を書くことにした。相手は現職の先生だから頑張って우리 글で綴り、5千円図書券を同封して彼女が務める학교に送った。현주の反応が待ち遠しい。

時間は人の事情に配慮などしないので、日付はどんどん変わって行く。ジンスの仕事も時間に流される。そんなある日、登録されていない番号から着信があった。電話にでると、聞き覚えのある女性の声。リ先輩がお熱を上げている店のグラマラスなチーママだった。

彼女が「今度いつ가게に来る?」と聞くのでジンスはけげんに思いつついんぎんに「近々伺います」と答えた。相手は「아니, 오빠 보고싶다고 ミミ가 자꾸 졸라대니 困っちゃったよ。今変わるから통화해」と言うなりすかさず別な声が聞こえてきた。耳の記憶をたどると可愛いい方の娘の声のようだ。

「오빠 会いたいよ〜。오빠の번호 保存して私からまたかけてもいい?」
駄目な訳がない。ジンスのスケベ心が脈打ち始めるが、営業トークだろうとの思いがブレーキを掛ける。でも、ミミはお店に来てとは言わなかった。ジンスは、また電話があればその時考えることにした。彼が待ってるのは현주からの連絡だ。ミミと通話を終えた瞬間また着信音が鳴る。현주からだった。

「ジンス連絡遅れて미안하다」が第一声。「편지 感動したわ。우리 말の表現力さすがやね。素敵な文章なので授業に使わせてもろた。애들の反応も良かったしな」と喋っている。ジンスは、同級生を懐かしむ文面に留めておいて良かったと胸を撫でおろす。

でも屈託ない彼女の語り調に、自分の高揚感と違う温度差を感じてしまう。通話しながら彼女は、ジンスの仕事や家庭の現況を聞いたりする。もちろん答えたし同じ質問を返したりした。何かエール交換のようで、奇妙な会話だなとジンスは思う。特別な関係かもと、盛り上がった己の高揚感が徐々に勢いを失っていくようだ。長いこと話して通話は終わった。(同級生の会話だよ。そう、同級生の一人なんだよ)と心の声がジンスをたしなめていた…

         続く