年老いた印刷工

1990年作 油彩画 F80(145㎝×112㎝)

今から30年前に描いた懐かしい作品だ。

改めてこの作品を見ると、30歳の頃に描いた作品らしく若さと情熱と真面目さが絵に表われている。 おそらく60歳になった今では、このような絵は描けないだろう。

この作品を描いた当時、私は某新聞社のデザイン室に勤務してたのだが、そこには編集局と工務局とが あった。

まだ今のように生産ラインがコンピュータ化されておらず、新聞、雑誌などはまだまだ活字で印刷していた。間もなく全てが自動化される中、数十年にわたり、ただひたすら活字の生産に従事してきた年老いた印刷工の誇りと、その使命を果たした満足感を記録に残す意味も込めて描いたと記憶する。

自動化されれば活字を生み出すこの機械もその役目を終えるのだ。

お昼休みにモデルに座ってもらい、現場で1週間ほどデッサンをして家に持ち帰り、大きなキャンバス(縦145 ㎝横112㎝)に描いた事を今でも覚えている。 まさにあの時代はアナログからデジタルへ、手動からコンピュータへの時代だった。

そんな時代の流れを作品に込めたかったのもしれない。

(ドーミエ)

5 COMMENTS

北のスパイ

この絵を観て衝撃を受けた。画家の説明もクールで心に突き刺さった。背景の機械はネジ一本に至るまで丁寧に描写されていて画家の気合と技量に感銘を受けた。何よりもモデルの姿と表情が凄すぎる。単なる労働ではなく、仕事に対する使命感、その日を終えた安堵感、そして明日に対する気概までが感じ取れる。画家の印刷工に対する共感や共鳴、リスペクトまで伝わってくるようだ!描かれた人の家に飾ってあったら素敵だな。デジタル化された職場にこそ相応しいかなと思ってしまう。

かもしれない

時代の流れ。写真で残すのは簡単だけれど、自分の手で残すと感慨もひとしおでしょうね。素敵です。週末からの挿絵、とーっても楽しみです。 
ドーミエってなんですか?🤣

인류학자

공무국 조판の青いユニフォーム 懐かしいですね。印刷が手仕事だった時代、一つ一つ活字を拾って、편집と공무の協力で、私たち在日の新聞を出していた時代。その歴史が力強く表現された作品だと思います。同時代にこの新聞社の記者の一人として働いていたので、モデルは誰かなと、考えてしまいます。素晴らしい作品を見せてくれて、本当にありがとう。

A

この絵を観ているとまずインクと油の匂いを感じます。そして主人公の日に焼けた肌と少し目をそらしてる感じが、かつてこの新聞社で活字をひろっていた私の외삼촌とだぶってしまい胸が熱くなりました。30歳でこの深みのある素晴らしい絵を描ける作者さんを尊敬します。心に響く素敵な絵をありがとうございます(*^^*)💐

現在コメントは受け付けておりません。