春のうららかさを感じよう

新ブログの裏ばなし⑦

ブログにも功罪はあるのだろうか?半年以上前のことだ。同窓会ブログには高校時代の、実に多くの写真が載っていた。Tも写真を見てあの時代にタイムスリップし、心躍らせた1人だ。そんなある日、彼の携帯にショートメールが届いた。

“私はWです。最近Tのことをよく思い出し、懐かしくてメールしました。電話してもいいですか?”と書いてあった。Tは送信者が誰なのかすぐに分かった。Wの名前と顔は憶えている。でも、過去に彼女と特別な関係だったわけではないから意外だった。

Wに返信してみた。“お久しぶり〜。何ならこちらから電話しましょうか?” 同級生とは言っても数十年ぶりだし相手は女子。結婚もしているだろうから自然と気を使ってしまう。WがTの方に出向くと言うので2人は決めた場所で会うことになる。Tの心はときめいていたし新鮮だった。Wが「再会できたら泣いちゃうかも」と言ってたから当然そうなる。

2人は都内某所のある喫茶店で再会した。顔を見合わせお互いに「…あまり変わってないね。」と語り合うが会話が続かない。でも沈黙のまま過ごすわけにもいかないのでTが話し始めた。
T:俺のこと覚えていてくれてたのは光栄だけど、連絡くれたのには驚いたよ
W:ブログの写真見てたら無性に会いたくなっちゃったの。昔、私が◯◯に交際申し込まれて悩んでいた時にTに呼ばれたことあったよね。その日が私の誕生日だと知ってご飯おごってくれたじゃん。そして「返事はちゃんとしないと相手に失礼だよ」とアドバイスくれたのよ。何かすごくうれしかったなぁ。
T:そんなこともあったね
そう言いながら記憶を巡らせる。意見した部分は確かに覚えているが、食事の件は思い出せない。やっぱり思い出は人それぞれなのだ。

Tにしてみれば、卒業して数年後に久々に彼女と会った時のほうが印象に残っている。彼女に呼び出され、自分の目を真っすぐに直視しながら「私、結婚するの。」と言ったWの顔が思い出された。<それでもいいの?>と訴えている様な感じだったから、モヤモヤしたと覚えている。彼女の食事の記憶と自分の記憶を重ねるとアレッ、と思ってしまう。

同窓会症候群ってテレビでもやっていたけど、ブログのおかげで前倒し?と思えてしかたがない。気持ちを探るようなマネはできないから思い出話のやり取りでその日の〈秘密の再会イベント〉を終わりにした。Tは別れ際にWに言った。
T:次は俺から誘うよ。同窓会の前にまた会おう
W:約束だからね
それぞれのダンナさんや奥さんに「よろしく」という言葉は告げられなかった……

続く

2 COMMENTS

匿名と言う名の匿名

何何何〜〜?
焼き木杭に火がついたか〜〜?笑
ドラマや漫画ではよくある話だけど、リアルにあるんだ〜
この後の流れが気になります。
変な期待が渦巻く…笑

現在コメントは受け付けておりません。