卒業の春…再会の準備を始めよう

지영이는 보았다 その12

ここ連日、大使館のロビーのモニターや各部門や部屋にあるテレビには、大統領の平壌訪問と白頭山探訪のKBS特集映像が流れていた。

平昌五輪に始まり、南北の緊張緩和の兆しを噛みしめる間もなく、春にはトップ同士が手を繋いで板門店の境界線を行き来する。世界が朝鮮半島の劇的な変化に目を向けたと思いきや、初夏にはシンガポールで史上初となる米朝トップ会談が実現してしまう。

おかげで情報部門もテンヤワンヤの忙しさだ。末端とも言える内勤の資料分析官にも、この時ばかりは予定外の仕事が押し寄せる。チヨンは休日出勤もして漏れなく仕事をこなす。そうしながらも歴史的な現場に立つことが叶わなかった今の己の立ち位置が恨めしくて仕方ない。

映像には大統領随行員や、事務要員としてテキパキ動き回る大学時代の仲間が映り込んでるからたまらない。何であいつが⁉ 的な妬みが蓄積されるばかりだ。

そしてここ数日は、覗き見スマホの向こう側の景色も変わった。日課的ウォッチでは体操、仕事、腰回し、時にダンスでテレビまたはDVD視聴は一日中がパターンだ。しかし最近は通話ばかりだ。

LINEのビデオ通話時には김の顔が映りっぱなしになるから笑っちゃう。通話相手は総聯の専従に同級生、新聞記者など様々で、話す内容も解説者や評論家なみだから驚きだし興味深い。ちょっと魅力的でさえある。おかげで長見してしまい、席に戻ると同僚にトイレが長いとか、何してたんだと叱られる。チヨンは自覚の無いままSNS依存ならぬ覗き見依存にハマり、画面の中のおっさんに愛着さえ感じ始めてるのだ。危険な兆候なのに。

また総聯系のおっさんたちと呑む機会があれば、政治的な話もしてみたいと思ったりもする。そうだ、機会は目の前にある。

数日前の酒席で홍が荒川の朝鮮学校のバーベキュー行事にママを誘っていた。確か10月の第二土曜日だとか。ママは行くと答えてたし「チヨンも一緒に行こう」と言ってたっけ。そう、ママに電話すれば済む話だ。

でも迷う。依然睨みを効かせている国家保安法と情報部門の煩雑な報告手順があるから面倒かな。
さてどうしたものか?!

          続く

1 COMMENT

携帯電源OFF

実話なのか逸話なのか…現実なのか架空の出来事なのか…どんどん頭が混乱してきました。この似てる?名前の方々に次回会うことがあったら変な先入観をもってしまいそう(笑)とにかく最近は、自分のスマホも誰かに覗き見されているかも??なんて考えるようになりました。病気ですね~💦🏥爆笑

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