春のうららかさを感じよう

지영이는 보았다(第3弾)その15

あの男は김の動きを察知していない。男の関心は専ら박지영をどう料理するかにだけ注がれていた。롱락중지の指令に김から返信が来たのは引っかかるが、奴はもう用済みだし、二度と出番はないだろう。気になるのは松山と박지영の電話のやり取りがここ最近無いことだ。

(松山が口出しするなと言っていた佐藤の件と何か関連があるのか?!)
男の胸中に新たな何故?が生まれる…

上野の、とあるカラオケボックスの一室で、김と松山は向き合っていた。密室だし話し声位じゃ音漏れしないのでと김が提案し松山は従った。김はまず自分のスマホを取り出して無言のまま電源を切る仕草をし、松山にも同じようにしてくれとジェスチャーで促した。

「顔を見るのは2回目ですが、はじめまして。失礼を承知で話します」と김が話の口火を切った。「松山さん、あなたはハナを好きですよね?」と聞かれた松山は「どういう意味ですか?」と質問を返す。

「ハナは今非常に危うい状況に置かれてます。彼女を助けたいし、それを出来るのはあなただけだ」と言う김の目付きは真剣そのもの。

松山は「最初の質問ですが、答えは… そう、私はハナさんが好きです。大真面目です。それから、김さんが何を言いたいのか飲み込めていないけど、ハナさん に不都合なことが起きるならば私は彼女を助けたい。私にできるなら必ず!」と言葉に力を込める。

「ハナの実際については私とあなたが思っている通りでしょうから、あえて話しません。こっち側から彼女に何らかの手を下すかもしれません。そうなると彼女は窮地に立たされる」と김は話す。佐藤の件があってから松山はハナを案じ自分のせいだと心を痛めていたが、それ以上に込み入った事態なんだなと理解する。

김はハナを救い出す手立てについて説明した… 話を聞いた後、松山は「ハナさんがどう受けとるか想像もできませんが、あなたはそれで大丈夫なんですか?」と김の顔を凝視する。

「今後、私がハナと会うことはないでしょう。あなたを信じて託しますよ」と김は頭を下げ、右手を差し出した。松山も김の手を握った。

2人は別れた。帰路についた新幹線の座席で김は(全然大丈夫じゃない)と頭の中で繰り返してる。そして無意識に声に出てしまう。回りの乗客のけげんな視線を浴びて김は縮こまる……

     第4弾へと続く