侵入者

私の部屋には、たまに侵入者が出入りする。ベランダに干してあるタオルや下着に体を寄せてじっとしていたり、何食わぬ顔で音もなく侵入する。まるで忍者のように。だが私には分かる。そいつが侵入すると必ず〈におう〉のだ。他の家族は気づかないようだが、私は〈あのかすかな異臭〉がイヤでたまらない。

昨晩も侵入者はやってきた。夜遅く作業をしている時に〈あのかすかな異臭〉を感知した。ただ、あまりにかすか過ぎて何のにおいなのかすぐには思い出せない。
「このにおい何だっけ…」
確かに嗅いだことのあるにおい。気になって仕事が手につかない。
「このにおい…」
そうだ！ あの侵入者だ！部屋中を捜しまわるが、見当たらない。でもヤツは息をひそめてどこかに隠れている！私と一夜を共にする気でいるらしい。

翌日、一通り家事を済ませてお茶を飲みながら本を読んでいると、羽ばたきの音と共に何かが私の目の前をかすめた。侵入者である。すぐに殺虫剤を部屋中にまく。すると侵入者がその姿を現した。カメムシ。そう私の部屋に度々侵入する忍者の正体はカメムシなのである。

私は昆虫が嫌いではないが、ゴキの次にカメムシが苦手。なんといっても、あの悪臭は嗅いだ人にしか理解できないだろう。そして、時間が経ってもにおいが消えない！あ～あ、カーテンがまだ臭い😢 ちなみにカメムシの中には自分のにおいが臭すぎて死んでしまうマヌケなヤツもいるらしい。洗濯物の匂いを悪臭に変えてしまったり私を憂鬱にさせる侵入者から身を守るために早く虫コナーズを買わなくちゃ。