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おかしな娘のオモロイ話(7)ー類は友を呼ぶ?上

朝高時代から、特別仲良しな友達がいる。
あまり勉強はできないけれど、人への気遣いができる優しくて思いやりのある、とにかく面白い子。 その名はゆっさん。

ゆっさんは、はっきり言って頭が悪い。 朝大の短期学部を卒業して就職した会社は都心にある不動産会社だった。 先輩(男性)が、ゆっさんに買い物を頼む。
先輩:小さいやつでいいから、シュレッダーを買ってきてくれない?
ゆっさん:(シュレッダー?)
ゆっさん、悩む。
ゆっさん:それは、どこで売っているんですか?
先輩:うーん、マルイとかにあると思うよ
もちろん文具売り場のことを言っている。
ゆっさん:(マルイ??? )
ゆっさん、悩む。
ゆっさん:それ、メンズですか?
先輩:(-_-;)

ある日、その先輩が散髪へ行った。 オシャレに敏感なゆっさん、 先輩の髪型が変わったことにすぐに気づいた。 ゆっさんは 自分にも周囲にもオシャレなことに気を使う。 そして他人の変化や趣向に対してきちんと良い反応をする。
もちろんその先輩の髪型にも反応しようと頑張った。

ゆっさん:おはようございます☀
先輩:おはよ。
ゆっさん:(えぇ~っと、敬語、敬語…) 先輩、アタマ、いかれたんですか?
社内にいた社員全員が飲み物を吹いた。

ゆっさんは、顔がまんまるで少しふっくらしている。 自分で自分の顔面を <おにぎり>と呼ぶ。
「いいなぁ~。あなたはガリガリで。私なんて、おにぎりだよ。」 ゆっさんが私によく言う言葉だ。

ある日、ゆっさんと一緒に食事して駅まで歩いてたら後ろから男性の声が聞こえてきた。 おそらく2人組。
「おい!声かけてみろよ!」
えっ。何、私たちに? もしかして、ナンパ? ゆっさんと私は、なにくわぬ顔で後ろをチラ見する。
私:나ーたちに 소리 걸자고 하고있지?
ゆっさん:うん。多分 그렇다. 나ーなんか前から見たら おにぎり인데 뒤모습이니까 分かってない이다.
朝高卒業生特有の「우리본말」ってやつである。

私たちは、後ろを警戒しながら試すように足早に歩いた。 すると後ろの男2人組も早足に追ってきた。
男たちがついて来る!
少し怖くなって加速する。 後ろからヒソヒソ何かを言われながら後追いされるのは気分が良いものではない。 でも少しワクワクかも。

すると、急に男の1人がゆっさんの肩をトントンとたたいた。
男:ねえねえ
振り返ると、全然知らない男2人が立っている。
女子2人に恐怖がのしかかる。怖い。危ない。どうしよう…
私とゆっさんの顔がこわばる。
でも、ちょっと待て。ナンパするのにこんな大胆な入り方するか?

男がゆっさんの前に立った。
男:あんたさ、友近じゃね?
男はゆっさんに向かって言った。男には私なんか眼中に入ってない。
ゆっさん、私:は?

私とゆっさんは最初、男が何を言ってるのか全く理解できなかった。 ポカーンとする私たちのそばで男たちが2人で盛り上がる。
男:ほら!ぜってー友近っしょ!!
どうやら、彼らはゆっさんを女芸人の友近に間違えたらしい。

「いや!違うから!!! 」と言ってあげたかったけど、その勘違いが面白すぎて言葉にならない。
ようやく事態を理解したゆっさんは、どうすればいいのか分からずオロオロしている。 そしてヒソヒソ声で私に相談してきた。
ゆっさん:え?これ違うって말해도 좋지ね?
(何の確認だよ。そこ気にするとこか? 違うだろ!)
ゆっさんは誰にでも気を遣う。

私の顔を確認してゆっさんが言った。
ゆっさん:(男たちに向かって)違いますよ!人違いです! 行こ!
ゆっさんは私の腕を組んで、恥ずかしそうにその場を立ち去った。

男たちを振り切ったあと、私はしばらく笑いが止まらなかった。
私:友近、、!!友近!! 似てる!!!
爆笑する私をよそに、ゆっさんは憤慨している
ゆっさん:何よー!友近って!もっとかわいい女優なら良かったのに!!
…そっかー。でも友近も、顔おにぎりっぽいもんな。
ゆっさんも納得。ちゃんと身の程を分かっている。

その後も、ゆっさんは友近に間違えられることが度々あるらしい。 だから自己紹介の時には、「芸人の友近に似てるとよく言われます!」と前もって言うようになった。 私の仲良しー友近おにぎりのオモロイ話はもう少しだけ続く。

2 COMMENTS

心優しい娘さん。

青春時代、周りに必ず「ゆっさん」みたいな子いたよな〜。
ちょっと消極的で心優しい子。
居なくなるとその存在感に気付くような憎めない子。

「ほっか弁」の話

いるいるこういう娘さん。
私の妻の話に似たような子が居ました。ある時、妻が「ほっか弁」にお昼の弁当を買いに行ったら厨房で働いていた人物が高校時代の同級生とそっくり、妻はその子だと確信しつつ思い切って尋ねた。
「もしかして〇〇자じゃない?」
すると〇〇자さん半身でこちらを見ながら一言「そうかもしれない…」。
ゆっさんと〇〇자さんがどうしてもダブって思える。
二人とも心優しいんだよね。

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