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【歴史】総連と民団の熾烈工作の歴史①「金大中拉致」でKCIAが犯したミス

対北強硬派とされる尹錫悦大統領の就任から4か月余り。朝鮮半島で南北対立が激しさを増すなか、日本でも本国さながらの南北代理戦争が連綿と続いてきたことは知られていない。その舞台となったのが在日本朝鮮人総聯合会(総連)と在日本大韓民国民団(民団)だ。『決別 総連と民団の相克77年』を上梓したジャーナリスト・竹中明洋氏が両組織の水面下の工作活動をリポートする。(文中敬称略)【前後編の前編】

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「経済協力などと引き換えにしようという発想が幼稚だ。私たちは尹錫悦という人物が嫌いだ」

8月19日、北朝鮮の朝鮮中央通信は朝鮮労働党副部長・金与正のこんな談話を伝えた。北朝鮮が非核化に乗り出せば経済支援を行なう用意があると尹政権が表明したことへの反発だ。

その直後、文在寅政権時代には見送られてきた大規模な米韓軍事演習が4年ぶりに行なわれ、北朝鮮はさらに反発。南北は再び厳しい対立の時代を迎えつつある。

朝鮮半島で対峙する2つの国をそれぞれ支持する日本国内の組織が総連と民団だ。在日韓国・朝鮮人の支援を掲げて戦後間もなく設立された両組織は、日本で激しい対立を繰り返してきた。

昨年6月、東京・九段のホテルグランドパレスが営業を終えた。プロ野球ドラフト会議の会場として使われた老舗ホテルだったが新型コロナの感染拡大に太刀打ちできなかった。このホテルを一躍有名にしたのは、開業翌年の1973年8月に起きた金大中(キム・デジュン)拉致事件である。韓国の野党政治家だった金大中が白昼堂々と客室から韓国中央情報部(KCIA)によって連れ去られたのだ。

金大中は、1971年に行なわれた大統領選挙で、現職の朴正煕(パク・チョンヒ)を相手に94万票差まで迫った。朴政権による迫害を受け国外に出た金大中は、日本や米国で政権批判を続けた。この金大中を支援したのが、朴政権を支持する民団中央執行部に反発し、本国の民主化を求める民団の反執行部派だった。

金大中を担ぎ、民団の反執行部派からなる新組織・韓国民主回復統一促進国民会議(韓民統)を設立。その動きが朴正煕に筒抜けになっていた。

金大中が拉致されたのは、結成大会を5日後に控えたタイミングである。ホテルの部屋を出たところを6、7人の男に襲われ車に押し込まれた。

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2 COMMENTS

前代未聞

この事件を題材にした映画が数本あります。
どれを見ようか思案中です。

平和が一番🙌

この事件は、もちろん記憶にあるけど、何となくやりきれない気持ちになるよね~
同じ民族なのに、なんでそうも憎しみあうかねぇ~💦
もっと、じっくり話し合えば分かりあえることも多いだろうに👀😢
でも、後に大統領になって、南北の架橋になり、ノーベル平和賞まで輝いて~👍
わが民族も、もっともっと成熟していかないと駄目なんだろうね~
同じキムチ大好き人間なのに~🤦‍♂️

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