【思い出】医協代表団の呉先生

在日本朝鮮医学者協会に入会したての頃、初めて共和国に訪問する機会を得た。メンバーは少人数で、眼科のドクター、二人の歯科医、引率者、そして２３歳の私の５人で、二週間の予定で共和国を訪問することになった。一応代表団と言う形式をとった関係で、格別の待遇を受けた。

飛行機での訪問になるので、初日と最終日は北京の朝鮮大使館で一泊しての行程であった。旅費も高額になるので、私は「お中元の配達」のバイトをして、一か月で必死に２０万円を稼ぎ、旅費の足しにした。

さすがに代表団、祖国での応対も豪華で、移動の車は三台だった。団長の眼科医と朝鮮の指導員はベンツ、二台目は歯科医と女性引率者のボルボ、最後に私と歯科医の呉先生のボルボだ。

万景台、港町元山や金剛山。色々な名名所を移動するにも、豪華な施設を特別に用意していただき、贅沢な行程であった。ずっと車で同乗いていた五つ年上の歯科医の呉先生とは、すぐに意気投合して、最後は本当の兄弟のように仲良くしていただいた。

しかしその呉先生が、自然児というか自由奔放というか、冒険心が半端ない😅　独身の呉先生は、新婚旅行は夫婦で自転車を使って世界一周をするんだと眼を輝かしたり、朝鮮滞在中に観光地を散策してる際も、落ちている松茸を拾って、車の中で私と二人で生でむしゃぶり食ったりもした。

そんな呉先生が、初日の中国大使館で滞在している時に、ふいに一人で消えたかと思ったら、近所にあった百貨店に行って、地味なグレーのセーターを買ってきた。私の部屋でそれに着替えて「これで現地の人に見えるかなぁ～？💕」と言うので、何で地味な服を～？と不思議に思っていた。

その答えは帰りに明らかになった。日本に帰る前日、ピョンヤンのホテルでの休憩時間に、部屋で待機しているはずの呉先生が3時間も行方不明になったのだ💦。

団長をはじめホテルの館内を探しても、どこにいない。もちろん外に勝手に出ることもできないので、団長の部屋に集まって心配していると、呉先生があの地味なグレーのセーターを着て、満面の笑みを浮かべながら戻って来た。

先生にその理由を聞くと、現地の人に紛れて街中を散歩して来たと😟…地図は日本で調べてあるので、たいがいは迷わずに行けたと悪びれも無く笑顔で話す…😰💦　本人は現地の探検気分で行ったと。

その後、指導員にこっぴどく怒られていたのは言うまでもない💦👀怖いもの知らずとは、呉先生のことを言うのかな？😖よくもまぁ～😢😱🛬

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